夢眠ねむやあのちゃんも訪れた、面白さひしめくサブカルチャーの聖地「中野ロープウェイ」
名前をつけてくれた両親と旅行中であったことにも、どこか運命的なものを感じているそうだ。 「僕はフルネームが伊藤泰彰というのですが、名前の中に泰(泰国=タイの漢字表記)という文字が入っているんですね。たまたまですが、今にして思えば、そんな名前をつけてくれたことが、店を始めるためのきっかけだったのではないのかとも思います」 意外なきっかけで始めることになった中野ロープウェイ。しかし、偶然は、それだけではなかった。 タイだけではなく、中野ブロードウェイという「場所」もイトウさんを引き寄せた。 犬のキーホルダーを手に入れてからは、とにかく店舗を探さなきゃ! という気持ちにせきたてられていたという。 どこでもいいから、家賃が安く、自分の考える雑貨屋のヴィジョンを1秒でも早く実現したかった。 「元々、僕自身は中野ブロードウェイが大好きでしたが、まさか自分のお店を開くとはと思っていなかったです。場所探しで奮闘しているときに、たまたまブロードウェイの中で空き物件を発見しました。 ブロードウェイは家賃の相場が15万円~30万くらいなので、当時の僕の経済力では店舗を借りるのは難しかったのですが、ダメ元で家賃を聞いてみたところ、なんと4万円の物件がひとつだけ空いていると教えられました。 急いでキープをしてもらい、次の日に即契約をしました」 犬のキーホルダーを手に入れたタイミングと重なっていなければ、あの物件は空いてなかったとイトウさんは話す。無事契約が成立したときは、犬のキーホルダーが導いた運命的なものを感じたそうだ。
当初は、イトウさんがやりたかったお店というコンセプトで、特にアイドルやサブカルチャーを意識はしていなかったという。 イトウさん自身アイドルは好きだが、アイドルやサブカル好きの層に向けたお店ではなく、中野ロープウェイは、あくまでも「雑貨屋」としてスタートを切った。 「今では10代、20代くらいの女の子のお客さんが多いですが、最初から女の子向きの店をやりたいとは思っていませんでした。 犬のキーホルダーを置くこと以外にはプランも白紙の状態でしたね。ですが、僕自身がとにかく昔から雑貨が好きなので、自分の好きな雑貨を集めたいとは考えていました。 昔から、宇宙百貨も文化屋雑貨店もスイマーも大好きだったので、当時の僕と同世代の30代くらいに向けて、大人が喜ぶようなお店にしようと思っていました。 ですので、最初はコアな雑貨好きに向けたお店というか、自分が好きなものが置いてあるお店がイメージにありましたね。女の子向きというより僕向きだったんです」