絶滅宣言の50年後に再発見、ニュージーランドの飛べない鳥「タカヘ」
まだ決して十分とはいえない数字だが、かつて絶滅種とされていた種としては驚異的な回復だ
■現在のタカヘ、「慎重な楽観」を生んだサクセスストーリー 現在のタカヘは、献身的な保護活動が、種を絶滅の淵から救うことを裏づける、輝かしい成功の証だ。1948年に再発見されたごく小規模な個体群から、タカヘは順調に増加し、最新の推定個体数は約500羽となっている。まだ決して十分とはいえない数字だが、かつて絶滅種とされていた種としては驚異的な回復だ。 タカヘは現在、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストで「絶滅危惧(Endangered)」に指定されており、今なお脆弱な状態ではあるが、保護活動の大きな成果が認められている。 タカヘの個体群は、当初の自然生息地であるマーチソン山脈に加え、捕食者のいない離島の自然保護区と本土の保護区に点在し、各地で綿密なモニタリングが行われている。 これらの自然保護区は、かつてタカヘの個体数を激減させた脅威を最小限に抑える上で不可欠な役割を担っている。脅威の筆頭に挙がるのは、オコジョなどの外来哺乳類による捕食と、土地改変による生息地破壊だ。 今日の自然保護従事者が、タカヘの未来について慎重な楽観を保っている主な理由は、タカヘを絶滅寸前に追いやった多くの要因について対策がなされていることだ。集中的な捕食者駆除プログラムにより、外来種の悪影響は最小限に抑えられている。また、捕食者のいない自然保護区の設立により、安全に繁殖しヒナを育てられる環境が提供されている。さらに、ニュージーランドでは自然保護への意欲や一般大衆の意識が高く、タカヘやその他の在来種の保護活動が広く支持されている。 それでも課題は残る。タカヘの繁殖サイクルは遅く、特殊な生息環境を必要とするため、環境変化や感染症、資金難といった要因が回復を妨げるおそれがある。 保全従事者たちは、個体群の詳細なモニタリングを続け、この注目すべき鳥たちが、復元された生息地で末永く繁栄できるよう尽力している。
Scott Travers