「大都市優遇、地方切り捨てだ!」国を訴えた“現職の裁判官”が語る「公務員の地域手当の改定」深刻すぎる問題点
問われる「組織が個人の使命感に依存する構造」からの脱却
竹内判事は、5月に弁護士JP編集部の取材に応じた際、現状の裁判官の人事制度のあり方が、裁判官の個人の使命感や職務倫理に依存している実態を指摘していた(♯関連記事)。 人員が不足している地方への赴任を命じられた裁判官が、使命感から、地域手当が減ったりなくなったりするのを覚悟の上で、耐えて赴任しているという実情があると訴えた。 そして、このままでは裁判官のなり手がいなくなり、いずれ日本の司法制度が立ち行かなくなるのではないかとの強い危惧を示した。 裁判官も勤労者であり、生身の人間だということを忘れてはならないだろう。地域手当の格差が浮き彫りにした、組織が個人の使命感に依存する構造は、民間企業でのいわゆる「やりがい搾取」の問題に通じるものがある。私たち一般国民にとっても決して他人事ではない。 敏腕で知られる現職の裁判官が提起した本件訴訟が、裁判官をはじめとする国家公務員、地方公務員の人事制度のあり方にどのような一石を投じることになるのか、今後の展開が注目される。
弁護士JP編集部
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