「大都市優遇、地方切り捨てだ!」国を訴えた“現職の裁判官”が語る「公務員の地域手当の改定」深刻すぎる問題点
名古屋市民オンブズマン代表で竹内判事の訴訟の弁護団にも加わっている新海聡弁護士は、首都圏への一極集中がさらに加速されることへの懸念を示した。 新海弁護士:「地域格差是正には程遠いといわざるを得ない。 地域手当を支給されるのは東京圏、名古屋圏、大阪圏、つまり人口と産業が集中しているところが多い。市区町村でも地方公務員の給与・地域手当は人事院勧告で示された数値をベースに計算され、『これより高く設定したら地方交付税交付金をカットするぞ』と圧力をかけられてきた。 地方公務員にとって基本になっている数値だ。格差がさらに拡大し、16都府県、東京を中心とした地域へ人々が流れ、集中が加速するのではないか。 その反面、日本海側など、インフラの整備が必要になってくる地域が無視されている結果になっている。 人事院勧告は同一都府県内の不公平を是正する形をとっているが、本質的な問題は解決せず、むしろ深刻化している」
「三大都市圏」と「その他の地域」の格差が拡大…地方公務員はさらに格差が大きく
岩手大学の井上博夫名誉教授(財政学)は、「三大都市圏」と「その他の地域」との格差が拡大したと分析し、地方公務員についてはさらに格差が大きくなるという見込みを示した。 井上名誉教授:「全市町村について、今回の人事院勧告が実施された場合に、地域手当が増加するところと減少するところをグラフにまとめた(【図表3】参照)。
一見すると、減少より増加のほうが多いように見える。しかし、増加するところは、ほぼ、その都府県全体が支給対象に設定された『首都圏』『中京圏』『関西圏』に限られている。 他方で、新たに新潟県、福井県、山口県、徳島県、長崎県は全県が支給対象外となっている。 これにより、三大都市圏とそれ以外の地域との格差が広がっている。 また、この後、地方公務員の給与についても、国家公務員に準拠する形での改定が予定されている。 そこで、もし今回の勧告がそのまま地方公務員に適用されたら地域手当がどうなるか、グラフにまとめてみたところ、地方公務員のほうが、国家公務員よりも大きく減少することになる(【図表4】参照)」
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