【時速194キロ死亡事故】初心者なのに「加速時の圧迫感に感動」と法廷で語った被告の元少年、なぜ親は放任した
■ ようやく見えてきた、一般道での超高速運転での事故を「危険運転致死傷」とする道筋 「かっこいいスポーツカーで、どこまで速度が出るか試してみたい」 車好きの若者ならそんな衝動に駆られることもあると思います。免許取り立てで運転経験が浅いにもかかわらず、公道で無謀な走りを繰り返す者たちは、交通ルールよりも自身の快楽や虚栄心が勝るのでしょう。逆に言えば、運転経験が浅いからこそ、怖さ知らずの危険行為ができてしまうのかもしれません。 しかし、その危険行為によって、他人の命や健康を奪う可能性があるのです。当たり前のことですが、どれだけ高出力でスピードの出る車であっても、一般道や日本の高速道路では制限速度を守らなければなりません。どうしても高速度を体験したいのなら、きちんとライセンスを取ってサーキット走行をすべきです。 これまでは、直線道路で発生した超高速度による重大事故の多くで「過失運転致死傷罪」が適用されてきました。その理由は、「衝突するまでまっすぐに走れていたので、制御困難な高速度とはいえない」というものでした。しかし、今回の大分地裁の判断によって、今後は同様の事案が「危険運転致死傷罪」という重い罪に問われる可能性が出てきました。もはや、超高速での事故はうっかり過失ではありません。長期にわたって刑務所に収監されるということをしっかり認識することが大切です。 親の立場としては、我が子が初心者ドライバーの間は、本人の特性や適性をしっかり見極め、その行動に注意を払う必要があるでしょう。初心者の間は身の丈に合った車を選び、必ず自動車保険に加入させ、車を購入後は行き先とともにオドメーターで日々の走行距離をチェックしたり、一緒に乗って運転の仕方を確認したりするなど、「うるさい」と言われても、厳しく目を光らせることが重要です。 本件事故の被害者となられた小柳憲さんの命を無駄にせぬよう、この裁判の結果が次なる事故の抑止につながることを祈りたいと思います。
柳原 三佳