金融緩和策の一部修正は「金融引き締めではない」日銀・黒田総裁会見12月20日(全文3完)
好循環に入りつつあるなら多少引き締めてもいいのでは
記者:すいません、読売新聞の【セキネ 00:50:51】と申します。今回の変動幅拡大の背景で、経済・物価のほうも上向いているという評価をなされ、さらに実質金利も低下して、緩和効果は強まっているというお話をされていますが、それでもなお緩和を続ける、金利水準はやや低いままで維持するというふうにおっしゃっているのはどうしてなのか。2%に向かって自律的に好循環に入りつつあるということであれば多少の引き締めに進んでもいいのではないかという考えもあると思うんですが、その辺どのようにお考えでしょうか。 黒田:そこは従来から申し上げてるとおり今回もそういうふうに申し上げてるんですけども、足元確かに3%台半ばまできてますし、年末にかけてさらに上昇する可能性があるわけですけれども、これはほとんど輸入物価の上昇を起点とする消費者物価への転嫁でありまして、その影響は来年に入るとだんだん減衰してきて、来年度全体としては2%に達しない可能性が極めて高いと。そういう意味では、2%というものが賃金の状況に支えられて安定的に達成されるという状況にまだなってないということが大きいわけでして、そういう意味では、緩和を続けるということが金融政策としては正しいというふうに政策委員会の一致した意見で、今回も現状維持ということを決めたわけであります。どうぞ。
政府、日銀の共同声明の修正は必要か
記者:TBSテレビの【イデノ 00:52:58】と申します。あ、あれ? ごめんなさい。 記者:あ、私? すいません、ロイター、【オダ 00:53:02】です。すいません。 記者:失礼しました。 記者:総裁に伺います。政府、日銀の共同声明についてあらためて伺いますが、日銀として修正は必要かどうか、この辺のお考えをお聞かせください。 黒田:2013年以降、ご案内のとおり政府と日本銀行は共同声明に沿って必要な政策を実施してきました。そうした下で、わが国の経済・物価は着実に改善し、デフレではない状態を実現したわけでありまして、現時点で共同声明を見直す必要があるとは考えておりません。どうぞ。 記者:あらためましてTBSテレビのイデノと申します。1点お伺いしたいと思います。今日の決定、どうしても金融引き締めの方向に見えてしまうんですけれども、今、国民が円安やそれに伴う物価上昇で生活に非常に大きな影響を受けている中で、これが景気にプラスになる、経済にプラスになるという部分がどうしてもちょっと理解、まだ追い付いていないんですけれども、あらためて分かりやすく教えていただけないでしょうか。 黒田:冒頭申し上げたとおり、また、公表文でも申し上げてるとおり、国際的な金融資本市場のボラティリティの上昇が影響してたわけですけれども、それがいったん収まったように見えたあとも、またこの秋以降、非常にイールドカーブ・コントロールの下における国債のイールドカーブがゆがんだ形がなかなか是正されないと。そういう下で社債の発行などに、今のところ量的には十分発行されてるようですけれども、例えば10年の社債を避けるとか、いろんな影響が出つつあると。 これが、ゆがんだ形が長く続くと、やはり国債の金利というのがどうしても社債とか銀行の貸し出しの基準になってますので、そこが、基準がはっきりしないっていうか、マーケットに信用されないっていうことになると企業金融全体にとって非常にマイナスになりますので、そこは、この際、国債という金利の標準というか、基準になるところがゆがんだ形になってるものを正して、より企業金融に緩和の効果がスムーズ、円滑に及ぶようにするということですので、景気にはまったくマイナスにならないというふうに思いますし、引き締めるというつもりもありません。 その意味で、適切なイールドカーブの形になるように、必要に応じて国債の買い入れも増やしますし、10年債のところだけでなくて、必要に応じて他の年限のところでも指し値オペを打つ可能性も指摘してるわけですし、また、社債の買い入れについても、より弾力的にゆっくり調整していくということにしたということであります。どうぞ。