金融緩和策の一部修正は「金融引き締めではない」日銀・黒田総裁会見12月20日(全文3完)
経済へのマイナス影響はないのか
記者:朝日新聞の津阪と申します。2問お尋ねします。すいません、ちょっと1つ目、同じような質問になってしまって恐縮なんですけれども、総裁、先ほど来、今回の組成についてプラスの効果を説明していただいてますが、9月の大阪での記者会見では0.25%の幅をより広くしたら明らかに金融緩和の効果を阻害するとおっしゃっていました。今回の上限の引き上げで何か懸念される経済へのマイナスの影響はないというようなご認識でよろしいんでしょうか。 もう1つは、今日の会見でも総裁、物価目標の実現までになお時間を要する見通しであり、金融政策の点検は時期尚早であるとおっしゃっています。確かに日銀の見通しでも2%の達成時期は示せていません。ただ、点検って、結果、2%が見えたときではなくて見通せない状況のときにこそすべきではないかという意見もあるかと思うんですけれども、総裁のご見解を教えていただけますでしょうか。 黒田:まず後者については、まだ2%を見通せるようになってないということですので、点検とか出口の検討というのは時期尚早であるということに尽きると思います。それから今回のYCCの運用の一部の見直しというのは、あくまでも市場機能の改善ということに焦点を当てたものでありまして、何か金融を引き締めようとか、そういうものではまったくないということは冒頭申し上げたとおりであります。
マイナスが出てくることは完全に防げると思う
そうした下で、10年債の金利が本日のマーケットで0.4%ぐらいまで、0.25%から0.4%ぐらいまで上昇しましたけども、これがずっと続くかどうかも分かりませんし、それについてとやかく言うつもりはありませんが、国債の買い入れも増額しますし、それから必要に応じて指し値オペを、10年物のみならず、ほかの年限でも必要があればやるということにしておりますので、何かマイナスが出てくるっていうことは完全に防げるというふうに思っております。 それから何よりも、春先から現在にかけての、いわゆる予想物価上昇率の上昇からいって、実質金利は春先よりも、また夏よりもずっと下がってましてですね。金融緩和の効果っていうか、力はものすごく増加してるということも背景としてあるということは言えます。ただ、あくまでもこれは市場機能の改善ということ、それによってYCCの効果がよりスムーズ、安定的に、企業金融を通じて経済にプラスの影響を及ぼすということを狙ったものでありますので、金利を何か引き上げようとか引き締めようとか、そういうような意図はまったくないということは重ねて申し上げられます。 記者:会見開始から45分が過ぎました。まだ質問がある方は挙手をお願いします。ここからは、質問はお1人当たり1問に絞っていただき、内容も簡潔にしていただければと思います。総裁にもご協力をお願いします。