日本人がタワマン嫌いになった決定的瞬間…それでもタワマンに投資し続けるワケ
出せば完売、売れば高額。タワマンブームが終わらない。庶民は手が出せない代物なのに、いったい誰が買っているのか。バブルは弾けるのか。タワマンのいまと未来、天国と地獄を覗いてみる―。 【一挙公開】全国の「激安タワマン」30はこちら…! 前編記事『タワマンは元々「憧れの家」ではなかった…“初期タワマン”の住人に向けられた意外な視線』で見たように、タワーマンションが増え始めた当初、タワマンは「東京で働き、暮らすためには仕方がない場所」と見られ、嫉妬や羨望の目は向けられなかったという。
タワマンブームの到来
しかし'00年以降、新しいタワマンブームが到来し、次第に世間からの注目が集まっていくと状況が一変する。その背景を、不動産ジャーナリストの山下和之氏が解説する。 「'97年と'02年に建築基準法・都市計画法が改正され、規制が緩和されたことで、都心部にタワマンが建てやすくなりました。特にアジア通貨危機が落ち着いた'00年以降、雨後の筍のように都内にタワマンが増える。'90年代までは1年で10棟程度だったのが、'00年には1年で31棟、'07年のピークでは75棟のタワマンが首都圏に建てられました。並行して東京の人口が急増し、その収容先としてタワマンの需要が高まっていったのです」 東京で暮らしたいという庶民の憧れと、小さな土地にできるだけ多くの人を住まわせ、最大効率で利益を上げたいデベロッパーの「儲け主義」が合致して、次々と建てられたタワマン。特に親和性が高かったのが、都心に勤める共働きの夫婦だ。 「女性の社会進出が進む中で、都心で働く共働きの夫婦も増えていきます。生活や育児のことを考えると、彼らは職場からできるだけ近い住居を選ばざるを得ない。そこで都心へのアクセスが良く、2人の収入を合わせれば購入できるタワマンが、共働き夫婦に人気となったのです。 しかし、すでに郊外に家を建て、ぎゅうぎゅうの満員電車に乗って都心の職場に通う人は、この頃から、タワマンに住む者に対して、東京をいわば『ハッキング』してラクに暮らす人たちとみなすようになったのではないか。タワマンを妬むのは、東京が普通の人にとってそれだけ住みにくくなっていることの反映なのです」(前出・貞包氏)