約4割が取引先とのトラブルを経験――もう泣き寝入りしない「フリーランス新法」の中身とは? 契約の仕方など知っておきたいポイントを解説
2020年より厚生労働省から委託を受けた第二東京弁護士会が運営している「フリーランス・トラブル110番」にも、「報酬の支払い」(28.1%)や「契約条件の明示」(16.9%)などの相談が多く寄せられていた。 ■フリーランス・トラブル110番の相談内容 報酬の支払い 28.1% 契約条件の明示 16.9% 受注者からの中途解除・不更新 9.4% 発注者からの損害賠償 8.4% 発注者からの中途解除・不更新 9.4%
出所)厚生労働省「フリーランス・トラブル110番について」より こうした実態を踏まえ、個人が事業者として受託した事業について、取引の適正化と就業環境を整備するためにフリーランス法はできた。 ■新法でどう変わった? 下請法との主な違いとして、まず、新法には資本金の制限がない。 また、下請法でも書面交付は義務付けられていたものの、実態として取引条件を「口約束」で済ませることが多く、トラブルの要因となっていた。そこで、フリーランス法では書面のほか、メールやチャットでも取引条件の明示が可能になり、発注事業者には書面による取引条件の明示が義務となった。
所轄官庁は、公正取引委員会と厚生労働省の2つにまたがっていることも特徴だ。前者を取引適正化パート、後者を就労環境整備パートと呼ぶ。 下請法に準じたのが取引適正化パートで、公正取引委員会の所轄だ。対して、育児・介護との両立配慮義務やハラスメント防止処置、中途解除の事前予告などの就業環境整備パートは、厚生労働省の所轄になる。 「これまでの法の概念ではフリーランスを含む事業者を『ビークル』や『箱』として捉えていたのですが、フリーランス法では事業者を生身の人間として整理し、労働基準法に準じたルールも盛り込まれました」(平田氏)
また、報酬は支払期日を60日以内に設定し、その期日までに支払うこと、「7つの禁止事項」などの義務もある。発注事業者は違反した場合、公正取引委員会から勧告を受け、社名が公表されることがある。 ■明示しなければいけない条件 業務の内容、報酬の額、支払期日、発注事業者・フリーランスの名称、業務を委託した日、給付を受領/役務提供を受ける日、給付を受領/役務提供を受ける場所、(検査を行う場合)検査完了日、(現金以外の方法で支払う場合)報酬の支払い方法に関する必要事項