約4割が取引先とのトラブルを経験――もう泣き寝入りしない「フリーランス新法」の中身とは? 契約の仕方など知っておきたいポイントを解説
フリーランスが自分で契約書のひな形を作成して、不利な条件を回避するというのも手だ。 フリーランス協会は、個人の事業者が契約書を作成する「契約書メーカー」を無料で提供している。 質問に答えながら、自分の条件にあった契約書を作成し、ダウンロードできるサービスだ。1度試しに作っておくと、契約書で決めておくべきポイントを意識するきっかけにもなる。 ■報酬額の決め方のコツ 取引条件の明示のなかでも、特にフリーランスから切り出しにくいのが報酬額だ。職種や経験値によって差が出るため、一概に「適正な金額」は明示しがたい。だが、そもそも日本人は謙虚である。
「自信がない人ほどセルフディスカウントしがち。自分の値付けは、業界全体の相場にも影響します」と平田氏は話し、こう続ける。 「自分の職種における相場や、価格幅を市場調査することは大事。同業者同士の情報交換のほかにも、最近は、スキルシェアのサービスもあるので、どのくらいの仕事をして、いくらくらいの値付けがされているのかが見えます」 とはいえ、クラウドソーシングは基本的にビギナーが多くて安く設定されているため、名指しで仕事を受けている人とは違う相場になる。
「報酬を上げるためには、ほかの事業者に代替されにくい、名指しで『あなたにお願いしたい』と言われる仕事を増やすことが大切。逆に、自分が絶対やりたい仕事については、普段の報酬より低く設定するなど、自分の意思で自由に価格調整できるのもフリーランスの醍醐味です」(平田氏) 経験値や物価の上昇にあわせて、値上げを交渉するのも必要なスキルだ。 「会社員は誰かが賃上げを訴えてくれますが、フリーランスは自分が事業者なので、自分以外は誰も値段交渉をしてくれません。自分で交渉するしかないのです」(平田氏)
ただし、値段交渉の末、発注者事業者が「その値段は受け入れられない」という理由で取引が成立しないということはあり得る。 「こうしたケースは違法に当りません。違法になるのは、10万円で合意した仕事を後から一方的に減額したり、相場より著しい安値で買いたたいたりした場合などです」(平田氏) 収入源を複数確保しながらポートフォリオ分散しておくことも、フリーランスの生存戦略として必須だろう。 ■フリーランス法の課題