日銀・黒田総裁会見7月15日(全文2)すでに回復の兆しが見えている
ウィズコロナの政策対応は
ブルームバーグ:ブルームバーグ、伊藤です。2点ございます。1点目なんですけども、当面はコロナとの共存をちょっと強いられる状況だと思うのですが、その影響が長期化したり第2波などによって成長期待やインフレ率が一段と下振れた場合なんですが、これは追加策として利下げも排除しないのか、それともコロナの影響自体が収束するまでやっぱり企業支援というものに注力していくものなのか、ウィズコロナの政策対応について教えてください。これが1点目です。 2点目なんですが、コロナ対応特別オペを利用しやすい制度にするために金融機関からの適格担保、担保の拡充を求める声が聞かれるんですけども、総裁はそうした担保の対象拡大とか要件の緩和などについて、その担保の拡充の必要性について今どのようにお考えか、以上よろしくお願いします。 黒田:まず前段の話、足元、当面、先ほど申し上げた3つの柱で企業の資金繰りの支援と金融市場の安定というものを図っていくということが一番重要だと思いますけども、さらに必要があれば当然、追加緩和をちゅうちょなく行うっていうことを先ほど申し上げたわけでありまして、そうした場合にどんな手段があるかということをいえば、当然のことながら特別プログラムの拡充のほかに、現在のイールドカーブ・コントロールの枠組みにおける長短金利のさらなる引き下げなど、いろいろな手段があるわけでして、それはそのときの金融経済情勢に応じて最も適切な対応を取るということだと思います。 それから2番目の担保の拡充につきましては、すでにかなり拡充をしておりまして、今の時点で何か具体的なさらなる拡充が必要だというふうには考えておりませんけれども、われわれとしては常にオープンマインドでありますので、具体的な必要が出てくれば当然そういったことも考えていくということになると思います。
緊急対応策の出口をどう考えているのか
時事通信:すいません、時事通信の佐藤といいます。コロナ対応策について再びお尋ねしたいんですけれども、その効果については一定評価されているかと思うんですけれども、一方で金融機関側、貸し手側の融資審査であったり、あるいはいわゆるゾンビ企業の問題であったり、そういうような指摘も出始めておるんですけれども、総裁はいわゆる現在の緊急対応策は、これの出口っていうものを総裁、今どんなふうにお考えなんでしょう。 黒田:まず、現時点で、先ほど来申し上げているように、金融機関は大変積極的に融資を拡大して、企業の資金繰りの支援をしていると。これは金融機関自身の判断、決定によることもありますし、また政府および日本銀行がさまざまな形で資金繰り支援をしているということもあると思います。 その下で、今、何か具体的に問題が生じているというふうには考えておりませんが、仮にコロナの感染拡大、あるいは影響が長引き、経済に対する下押し圧力が予想以上に長くなるということになりますと、確かに企業によっては資金繰りの問題ではなくてソルベンシーの問題になっていくというところが出てくる可能性はあります。 逆に言うと、金融機関にとっての信用コストが増大するという恐れもあるわけであります。従いまして、そういった点については、現時点でそういう心配だということはないんですけれども、そういう可能性については常に注視して、点検していく必要があるというふうに思っております。 ゾンビ企業うんぬんというのは、かなり今の時点で、そういう議論が大きいと思いませんが、かつてもそういう議論がありましたし、外国でもそういう議論をする人がいるわけですけども、金融機関は積極的に資金繰り支援を行っていますけれども、その場合も十分企業のなんて言うんでしょうか、長期的なバイアビリティーというか、持続可能性というものも十分審査しながら、足元でそういった積極的な資金繰り支援をしていると思いますので、退出すべき企業が退出せずにより長く生き延びてしまう、そして経済全体に結局マイナスになるという、いわゆるゾンビ企業論が、今の時点で議論になり、深刻になるというふうに私どもも思っていませんし、そういう議論も今回はあまり出てないと思います。