G20サミット混乱あらわ、トランプ氏復帰前から無秩序な世界浮き彫り
(ブルームバーグ): ブラジル・リオデジャネイロで18-19日、主要20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)が開かれた。会場ではサンバのダンサーが踊り、出席者は軽やかな海風に包まれていた。
しかし、G20首脳宣言がオンラインに現れると、お祭り気分とは程遠い雰囲気になった。
舞台裏では、ウクライナや中東での戦争について表現を巡る争いが起きており、これをいら立つ主催国ブラジルのルラ大統領が突如打ち切っていた。このため、特に米国と同盟国には苦い後味が残った。
それから数時間以内に、ウクライナがロシアによる侵攻以来初めて、米国製の長距離ミサイルでロシア領を攻撃したというニュースが飛び込んできた。ロシアは核による報復の可能性をあらためて警告し、市場を動揺させた。
「西側とその他」が結束を示す機会とされているG20サミットは、国際的ルールに基づく秩序がどれほど急速に崩壊しつつあるかを示す形となった。
北朝鮮兵は初めて欧州で戦っている。イスラエルは、同国と親イラン民兵組織ヒズボラやイスラム組織ハマスとの停戦を目指す米国の取り組みに抵抗している。また、中国は定期的に台湾周辺で軍事演習を実施。核の脅威は日常茶飯事になりつつある。
そして、これらは全てトランプ氏がホワイトハウスに復帰する前の話だ。
世界の無秩序感は、サミット初日の集合写真撮影に最も端的に表れた。バイデン米大統領、カナダのトルドー首相、イタリアのメローニ首相の3人が恒例の「家族写真」に参加しなかった。米国側は手配上の問題から写真が早めに撮影されたと主張し、主催者側はバイデン氏が撮影時間に遅れたと主張した。
この埋め合わせとして、ルラ大統領は19日に撮り直しを求めた。今回はバイデン大統領もちゃんと写真に収まった。しかし、リオの壮大なシュガーローフマウンテンの代わりに、実物ではない背景が使われたことで、結束の試みが見せかけにすぎないという印象をさらに強める結果となった。