ダメなリーダーは「責任をとる」と言う。優秀なリーダーは何をする?
これまで、リーダーといえば「責任をとること」が役割だと思われてきた。しかし、『リーダーの言語化 「あいまいな思考」を「伝わる言葉」にする方法』の著者である木暮太一氏は、リーダーの本来の役割は、どこに向かって進むべきかを「言葉で明確に伝えること」だと話す。このたび木暮氏に、リーダーが身につけるべき言語化スキルについて、シーン別に対処法や解決策を教えてもらった。(取材・構成/山本奈緒子) ● 「責任をとること」の意味を分かっているリーダーは少ない ―― 一般的に、良いリーダーというのは普段は部下のやることに口を出さず、いざというときに出てきて責任をとる、と思われていますよね。でもこの認識は改めていく必要がある、と。 木暮太一(以下、木暮):そもそも論なのですが、「責任をとるとはどういうことか?」です。ビジネスでいえば、最終的に責任をとるのは経営者ですよね。そして経営者が責任をとるというのはどういうことかというと、財産を失うという意味です。アナタがお金を投じて失敗をしたらそのお金はなくなりますよ、ということであって、別に殺されるわけでも逮捕されるわけでもありません。 ―― 一方で、経営者の方針に従って動くリーダーにとって「責任をとる」というは……。 木暮:経営者などのトップではなく、リーダーが責任をとるというのは、本来は“交代”のはずなんです。スポーツにおける監督みたいに。 選手たちは悪くない、だから選手たちはそのまま選手として生き続けるけれど監督は仕事を失う。これが本来、指揮官、つまりリーダーがとる責任なんですけど、日本企業の場合ってまずクビにならないじゃないですか。 降格すらも、実際問題ほとんどない。ちょっと給料が減ったり査定が下がったりすることはあるかもしれませんが、せいぜいそれぐらいで、結果を出せないリーダーがずっと残っている、というのがあるあるです。 ――となると日本のビジネスシーンにおいて、責任をとるということは何だと捉えられているんでしょう? 木暮:おそらくほとんどの人は、怒られることを意味している、と思っています。じゃあ部下の変わりに怒られてきたとして、そのストレスを部下にぶちまけてないですよね?と言いたいんですけど……。 僕も新人の頃は、「上司の責任は部下の失敗の尻拭いをすることだ!」としょっちゅう言われました。でもその分、部下に向かってストレスを発散している人がすごい多かったんですよ。アナタが怒られているよりも、アナタからそのストレスをぶつけられていることのほうがはるかに多いんですけど……とすごいモヤモヤしていましたね。 ――それでは責任をとっていると言えるのかどうか……。 木暮:リーダーたちはただ単に上に怒られているだけで、本当の意味で日本企業でリーダーたちが責任をとっているかというと、まずとっていないと思います。でも「本当に責任をとるということはリーダー交代です。結果が出なかったときは荷物をまとめてこの場を去るつもりはあるんですか」と言うと、皆、「そこまではやり過ぎだ」と言うと思うんですよね。