日銀・黒田総裁会見7月15日(全文2)すでに回復の兆しが見えている
日銀として特別な対策を考えるのか
テレビ東京:もう1点ですけれども地方で特に困っているところに対して、日銀として特別な対策というのは考えていくことになるんでしょうか。 黒田:ご承知のように東日本大震災とか熊本地震とかその他そういう地域的な自然災害とかなんかで非常に大きく影響が出た場合の特別なオペとか、そういうことはやっていますけども、通常の経済の好不況で地域ごとに違うっていうことで日銀の特別の対応っていうのはなかなか考えにくいと思いますけども、今のところ各地を見ましても先ほど申し上げたように地域ごとの差はありますけれども、観光に依存してる地域はやや大きく影響を受けてますけども、それでも全体としての日本経済として底を打って回復しつつあるということには間違いがないように思いましたので。ただ今後とも各支店を通じて各地域の状況は十分注視していきたいと思っております。
米中対立が世界経済に与える影響は
毎日新聞:毎日新聞の大久保といいます。1点よろしくお願いします。米中対立についてです。先ほど香港の問題もありましたけれども、新型コロナの発生責任の問題を巡ったり、あるいは最近では南シナの問題なんかを巡って米中対立が先鋭化しているように見えます。新型コロナへの対応というのはおそらく米中も含めた主要国の結束というものが非常に重要だと思うんですけれども、今の米中対立っていうものが今後の世界経済に与える影響についてどういうふうにご覧になっているのかお願いします。 黒田:これはあまり日本銀行総裁としてどうこう言うっていうのは適当でないと思いますが、かつてアジア開銀の総裁とか財務官を務めたことから申し上げると、今回のコロナウイルス感染症拡大の影響、それからご指摘の米中対立うんぬんっていうのは、これまで非常に急速に進んできたグローバリゼーションに対して、人の移動とか貿易とか直接投資に対してブレーキがかかるんじゃないかということは非常に懸念されているわけですけども、他方で例えば日本を中心にさまざまな自由貿易協定がすでに発行しているわけですね。日本とEU、あるいはTTP11、そして日米とですね。 その中には当然さまざまな貿易や投資の振興につながる要素が含まれていますので、新型コロナウイルスの影響、そして米中対立っていうこと、その他でグローバリゼーションに歯止めがかかるんじゃないかとかそういう懸念があることは認めますけども、私自身はそうした下でも単に先進国だけでなくて新興国と共に守るべきグローバリゼーションというのはしっかり守っていくという必要があるし、結局そういうふうに向かっていくのではないかというふうに思っています。