インテリアのプロが2025年のトレンドカラーを予測
これからデザイン界を席巻する色は? 塗料会社やトレンド予測の専門家たちが、賭けを始めている。来年に向けてどんな色が用意されているのか、把握しておくべき時期に差しかかってきたようだ。まずは、背景から説明しよう。昨年は、プレッピー・ピンクとムーディーなダークカラーの衝撃的な融合(インスピレーション源は、映画『バービー』と『オッペンハイマー』)と共に、多彩なブルーのバリエーションが目撃された。温もりのあるカラートーン、静かなインテリア、それから1990年代から2000年代初頭の(予想外のレッドをちりばめた)カラートレンドが愛された1年だった。 2025年に話を移すと、Y2Kの影響は影をひそめ、デザイナーたちはさらに前の時代に目を向け始める。復活を果たすのはアール・デコとフォークなアイテムたち。こうした傾向は、2025年のカラートレンドにどのような影響を与えるのか。実は今、勢いを増しているのが、専門家たちが言うところの「マディ」(くすんだ)色だ。 デザイナーであるギレーヌ・ヴィニャスが予測するトレンドカラーは「アーシーで落ち着いた色をベースにした、複雑にくすんだピンクやパープル、グリーン、イエロー」とのこと。「自然素材が美しく経年変化を遂げる様子を思い起こさせる色ですね」と建築家のハネス・ピアも語る。 もちろん、誰もブラウンを忘れられたりはしない。ただ、この色に対する見方は大きく変わりそうだ。思い浮かべてほしいのは、彩度の低いグリーン、控えめなオークル、ダスディ・ブルー。これらはあからさまに「ブラウン」を主張することはないが、ソフトな色がもつ確かな力を見せつけてくれる。 「人々の興味が、内省的なカラーへ移行していくのを感じます。つまり、親しみがあるけれどニュアンスが豊かで、かすかな複雑さを感じさせるような色。もの思いにふける環境を整えてくれます」とピアは言う。「すぐに去ってしまうトレンドとは異なり、こうした色合いは時代を問わない豊かな物語に根ざした、永続的な深みを空間にもたらします」 大胆な色を使った実験的な組み合わせを得意とする「色の女王」ヴィニャスでさえも、自身のパレットにくすみを加えることをいとわない。「誰もが口をそろえるのは、ブラウンが舞い戻ってきて、新たなミレニアル・ピンクとしての役割を果たすということ」とヴィニャス。「個人的には、もっと"マディ"なピンクやパープル、グリーン、イエローに惹かれますね。アーシーで落ち着いたベースを感じる色です」 これ以上、ここで細かい解説をするのはやめておこう。以下では、2025年に特に存在感を強めそうな6つのカラーをご紹介。洗練を極めるエッグプラント・パープルからダスティなテラコッタ色、チョコレートのようなブラウンまで、具体的に見ていこう。US版「エル・デコ」より。