カツカレー発祥の店『銀座スイス』はやっぱりウマい。“伝統”と“新感覚”、2つの料理を味わってきた
●さまざまな「元祖」がひしめく東京・銀座。なかでもカツカレー発祥の店として知られているのが、1947年創業の洋食屋『銀座スイス』。今や日本はおろか、英国でも人気を博すカツカレーですが、その元祖はどんな味なのか? 実食してきました。
銀座スイスがあるのは、銀座3丁目。銀座マロニエ通りからガス灯通りに折れてすぐのところにあります。ビルの2階ですが、1階にショーウィンドウがあってわかりやすい。紅白ストライプをあしらったのれんが目印です。 カツカレー発祥の店『銀座スイス』の関連画像
カツカレーが誕生したのは、昭和23年(1948年)。プロ野球・巨人の千葉茂選手(1919~2002)の大好物がカレーライスとカツレツでした。特に、カツレツは「勝つ(カツ)」というげん担ぎから試合前によく食べていたそうです。
ある試合前に、手早くガツンと食べたいと思った千葉選手が「カレーライスにカツレツをのっけてくれ!」と注文。当時の常識からは考えられず、料理長は相当ビックリしたと思いますが、これがメニューに加わり、瞬く間に人気を呼び全国的に広がったそうです。
カツもカレーもどっちも美味な至極のカツカレー
カツカレー誕生時のエピソードを思い浮かべながら、さっそく実食です! こちらが「千葉さんのカツカレー」(ランチタイム2420円)。
どうですか、このボリューム! 国産豚ロース120gを使用しています。カレーソースは、創業者のレシピを受け継ぎ、たくさんのタマネギ、ニンジンを中心に、リンゴ、ショウガ、ミンチとともに煮込んでいます。たくさんの具材は溶け込んで一つになっている濃厚なとろみが、サクサク揚げたてのカツレツによく絡みます。
これカツレツだけでもおいしいし、カレーだけでもおいしいんです。「でももしかしたら両方合わせるとちょっと脂っこいかな、ヘビーすぎるかな……」とご心配の方! 安心してください。上質な豚肉に上質なラードを使っており、カレーソースは野菜たっぷりなのでしつこくなく、どんどん食べられます。そう、元祖カレーはもたれないのです。
シュウマイはもはや洋食! 銀座スイスが打ち出す新機軸
カツカレーは安定のおいしさですが、もう一つ、全力でオススメしたいのが「洋食屋さんのシュウマイ」(3個入り、750円)コロナ禍で誕生した比較的新しいメニューです。 洋食屋でなぜシュウマイ!? と、メニューの中でもひときわ異色の存在感を放っています。3代目ママの藤岡あけみさんは次のように説明します。 「『千葉さんのカツカレー』で使う上質な豚肉の端材を有効活用しようと、いろいろな商品を試行錯誤しました。豚肉のおいしさをストレートに味わえて、ビールのおつまみとしても合う料理、かつ揚げ物メニューは他にもあるのでこれまでにない蒸し物をやってみようということで、シュウマイが誕生しました。紹興酒を使うところはワインを使うなど、中華料理の食材は一切使っていません」