「子どもは絶対に”学費の高い私立”に行かせます」…《風俗街の病院》で働く新人女医が目撃した「患者嫌いのカネ持ち医師たちの苦悩」
「子どもは絶対に私立に行かせる」
結局、皮肉なことだが、どのような患者に対しても偏見がないのは「極めて同質性の高い環境で長く育った医者」だと私は感じている。実際、彼らは驚くほど思いやりに溢れ、親切で模範的な態度を示す。 おそらく、自らとかけ離れた価値観を持つ人間と深く関わった経験がないからこそフラットなのだろう。私が知るこのパターンの医者は「皆同じ人間で、差別や偏見は良くない」という理想を良い意味で本気で信じ、汚れのない心で生きている。まさに世間知らずがゆえに実現したノブレス・オブリージュと言えよう。 こうした育ちによる考え方の違いは、子どもの進学先にも如実に現れる。 同業者間で「もし自分の子どもを通わせるなら私立がいいか、公立がいいか」といった話題になると、私立校という同質的な環境から一度も出たことがない医者ほど「公立でもいい」と言う。 一方、自分が公立校に通っていたり、多様な層と関わった経験があったりする医者ほど「子どもは絶対に私立」と答える。もし他が全て同じ条件なら、学費の「高い」ほうに行かせたいという考え方すらあるくらいだ。 ただ、どちらの医者も我が子に願っていることは変わらない。あからさまな偏見で他人を見下すような人間に堕ちてほしくないのだ。 それでもどんな教育を受けてきた医者だろうが、たやすく悪感情に染めてしまう治安の悪い病院というのは確実に存在する。私が働いていた風俗街の病院はそのひとつだ。きっと私の同僚のなかにも、この病院にさえ来ていなければ立派な医者になっていた者もいたのだろう。 しかし、病院選びを誤った時点で手遅れなのだ。一度歪んでしまった人間性はもう治療できない。 つづく記事『「風俗街の病院」に勤める新人女医が驚愕…トイレから血まみれで出てきた14歳少女の「衝撃の姿」』では、鷹見さんが実際に経験した「風俗街の病院」のリアルをお伝えします。
鷹見 夜(医師・ホステス)