手力アップは握力よりも〇〇のほうが大事! 健康寿命を伸ばすためにできること【40歳から始める! 健康寿命を延ばす「手力・足力」!⑥】
更年期世代になると体の痛みを訴える人が増えてくる。そのひとつが「手の痛み」だ。さらに握力の低下は体全体の筋力の低下の現れだとし、これが将来、認知症のリスクを高めるといわれている。そこで、握力低下を防ぎ、手の健康を守る方法を、看護師で英国ITEC認定リフレクソロジスト・アロマセラピストの市野さおりさんに伺った。
握力低下と間違った手の使い方が「手力低下」の原因
加齢により、筋肉量の減少や筋力が低下していることをサルコペニアという。その診断基準のひとつに握力測定があり、握力が男性28kg、女性18kg未満だと握力低下と判断される。そして、この握力の低下は体全体の筋力の低下を示すとされている。 最近、未開栓のペットボトルのふたが開けづらくなったという人は注意が必要だ。 「40歳を過ぎた頃から、握力の低下とともに『手の痛み』を訴える人も増えてきます。手が痛くなると、とたんに生活の中で不都合が出てきますよね。 先日、私のところに『山登りに行ったら手が痛くなった』という不調を訴える40代の患者さんが来ました。『山登りで、どうして手?』と思い、よくよく聞いたら、登山用のストックを持って歩いたのだそうです。脚力が落ちていて膝や太ももがつらかったので、それを補助するためにストックを持った手に力を入れていたようです。 このように40代ともなると、足や脚、手など、全身の筋力が落ちている人は少なくありません。体に痛みが発症するのは、こうした筋力の低下に加え、間違った体の使い方をして、偏った部分にだけ負担がかかっていることがとても多いですね。 手の痛みも同様で、日々の生活の中で『使いすぎていること』『間違った使い方をしていること』が大きな原因です。 痛みが発症すると、手で行う細かいことができなくなります。それが長引くと、今までできていたこと、例えば、得意だった料理、趣味の手芸や楽器演奏などが以前のようにできなくなることがあります。こうして、自信がなくなり、楽しみや刺激が減ることを引き金に、人と会うことを敬遠するようになります。やがて引きこもりから認知症、寝たきりへとつながることがあるのです。 気をつけたいのは、手の痛みを発症させないことです。それには握力を高めることよりも、手への負担をできる限り低減させることが重要です」(市野さおりさん)