493gで生まれ「生きられないかもしれない」と言われた息子は6歳に。もしもの不安は今もぬぐえない、それでも親としてできることを【小さく生まれた赤ちゃん体験談】
リトルベビーサークルの立ち上げと、栃木県版リトルベビーハンドブック制作へ
恵さんは奏明くんが3歳を過ぎた2021年、Instagramで宮崎県のリトルベビーサークルの存在を知りました。 「同じようなママたちと育児の気持ちを共有できたらいいなと思い、宮崎県のサークル代表に『参加したい』と連絡をしてみたんです。そうしたら『栃木県にないなら作ってみませんか? 』と提案してもらい、国際母子手帳委員会の板東先生を紹介してくれてサポートを受け、栃木でもサークルを立ち上げることになりました」(恵さん) そして2021年9月、栃木県のリトルベビーサークル「にちにちらんらん」の立ち上げと同時に、栃木県庁にリトルベビーハンドブックの導入要望もすることに。 「実は私はリトルベビーハンドブックのことをあまり知らなかったんです。でも、静岡のリトルベビーハンドブックを見せてもらう機会があったときに『これがほしかった!』と。一般的な母子健康手帳では、小さく生まれた息子の成長を記録することができず、苦しい思いを持っていたからです。栃木でもリトルベビーハンドブックを作り、必要なママたちに届けたいと強く思うようになりました」(恵さん) 要望書を提出した次年度の2022年には栃木県でのリトルベビーハンドブックの導入が決定し、2023年3月に発行されました。立ち上げ当初は2~3人だったサークルメンバーも、現在では500~600人ほどになっているそうです。
授乳室を搾乳目的でも利用したい、ママたちの願い
リトルベビーサークル「にちにちらんらん」では、地域のコミュニティセンターを借りてサークル活動をしています。メンバーが自由に参加して気ままにおしゃべりをしたり、気になる悩みを相談したり。そんなママたちの困りごととして話題になることの一つに、搾乳場所のことがあります。 「小さく生まれた赤ちゃんのママは、赤ちゃんが入院中で一緒に過ごせないなかでも、3時間おきに搾乳をすることが多いんです。病院にいる赤ちゃんに届けるためもありますし、定期的に刺激をしないと、母乳の分泌が止まってしまうからです。赤ちゃんに飲ませるための母乳はすぐに冷凍する必要があるので自宅で搾乳しますが、外出先でも搾乳のタイミングになることもあります。搾乳をしないと、乳腺炎などのトラブルの原因にもなってしまいます。 ただ、そのことを知らない人も少なくありません。サークルメンバーからは『授乳室を搾乳目的で利用しにくい』という声が上がっています」(恵さん) にちにちらんらんのメンバーからは授乳室の利用について「搾乳のために授乳室の個室を利用したら、休憩していると思ったのかカーテンを開けられて注意された」「『赤ちゃんと一緒に入ってください』と掲示されている所もあり、搾乳目的では入れなかった」「赤ちゃんが一緒にいないとあやしまれないか不安で、ほかの人がいるときは入れなかった」「1人で入るには勇気が必要で車の中で搾乳する」などのコメントが届きました。 「リトルベビーのママでなくても搾乳が必要な人は少なくありません。授乳室の入口に『搾乳で利用する人もいます』とステッカーを貼るだけでも、状況は改善するのでは、と思っています。 私たちは栃木県内の各自治体の保健師さんに会う機会があるときには、役所や保健センターなどの授乳室を搾乳目的でも使えるように協力してほしいとお願いしています。小さなことかもしれませんが、小さなところから社会を少しずつ変えていかれると信じています」(恵さん)