なぜバレた…年収300万円の48歳サラリーマンが青ざめた、税務署からの「1本の電話」【税理士の助言】
税務調査というと、個人事業主や法人のイメージが強く、会社員や主婦など個人にはあまり関係がないと思っている人も多いのではないでしょうか。しかし、そんなことはありません。税務署は個人に対しても目を光らせているのです。多賀谷会計事務所の宮路幸人税理士が、重い追徴税を課されてしまったサラリーマンの事例を紹介します。 【早見表】年収別「会社員の手取り額」
介護のために辞職を決意…年収は5分の1も「悔いなし」
このたび、大好きな父親を看取ったAさん(48歳)。両親はAさんが小さいころに離婚し、以来、自営業の父親が男手一つでAさんを育ててくれました。 Aさんは、そんな父親のもとですくすくと育ち、東京の大学を卒業後、エリート証券マンとして全国を転々とする日々を送ってきました。 しかし3年前、Aさんが45歳のころ父が病気になり、介護が必要な状態に。当時のAさんは年収約1,500万円と高い給与をもらっていましたが、大切な父親との時間を優先するため、証券会社を辞めて実家へ帰省することを決断しました。 帰省後は、実家近くの小さな会社で経理として働きながら、父親の介護に勤しんでいたA さん。年収は前職の5分の1(約300万円)にまで減りましたが、それでも父親と過ごせる日々に満足していました。 そして、約3年の介護の末、父親は84歳で逝去。相続財産は預金と自宅のみであったため、数字に強かったAさんは、自ら相続税の申告を済ませました。
いったいなぜ…税務署からかかってきた「1本の電話」
そんなAさんのもとに、ある日税務署から1本の電話が。聞けば、「税務調査に伺いたい」というのです。 Aさん「えっ? 父の相続税のことなら、きちんと申告しているはずですが……」 税務署「いえ、今回はAさんの所得税の調査となります」 Aさん「……なるほど。私の申告ですか」 なぜバレた……電話を切ったAさんは顔面蒼白。焦りを隠せません。
Aさんの“隠しごと”が税務署にバレたワケ
実は、Aさんは「家賃収入」を目的とした賃貸用不動産を購入しており、その分の確定申告を長いあいだ怠っていたのです。 では、なぜAさんの”隠れ副業“が税務署にバレてしまったのでしょうか? 不動産を購入すると、その所有権を明確にするために、所轄の登記所にて不動産登記を行うこととなります。 この不動産登記の際、その登記所から「所有権異動」の連絡が税務署に届くようになっているのです。 通常、不動産の購入には多額の資金が必要となるため、税務署は購入者に「お買いになった資産の買入価額などについてのお尋ね」という文書を送ります。この「お尋ね」の中身は、「不動産を購入した資金はどこから調達しましたか?」といったアンケートのようなものです。 これに対し、購入者は「住宅ローン」や「自己資金に加え、親から住宅資金の贈与を受けた」といった旨の回答を行います。
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