英紙はサウサンプトン南野拓実の鮮烈な移籍デビューを「動きにまったくミスのない完璧なゴール!」と称える
6分が表示された後半アディショナルタイムの終わりを告げる、主審のホイッスルが鳴り響いた瞬間に、フル出場を果たしていた南野は悔しそうに上から下へ、右腕を大きく振り下ろした。 「移籍してから高いレベルの選手たちと練習から一緒にプレーしていますけど、試合で結果を出してこそ成長を実感できるので。レベルアップしているのか、と言われると現時点ではわかりません」 リバプール時代にこう語っていた南野は、サウサンプトンでの初陣で個人的には結果を出した。しかし、日本代表でも常に追い求めている、チームに勝利をもたらすという結果は手にできなかった。だからこそ心の底から喜べない。負けた瞬間に見せたしぐさに、悔しさが凝縮されていた。 スコア上では惜敗ながら、数的優位を生かせなかったサウサンプトンはリーグ戦で5連敗を喫した。加入が決まりながら南野の選手登録が間に合わなかった、日本時間3日未明のマンチェスター・ユナイテッド戦では、2人の一発退場者を出した末に0-9の歴史的大敗を喫している。 サイドハーフの選手を中心にけが人も続出している、負の連鎖を断ち切れなかった。それでも、イギリスのタブロイド紙で2位の発行部数を誇る『Daily Mail』の電子版は、試合結果を速報する記事のなかで「デビュー戦で決めた素晴らしいゴールが、セインツに希望を与えた」と伝えた。 セインツとはサウサンプトンの愛称であり、ポジティブな英文の主語はもちろん新天地で「19番」を託された南野となる。息つく間もなく14日には、ホームのセント・メリーズ・スタジアムにウルヴァーハンプトン・ワンダラーズを迎える第24節が待つ。デビュー戦で放ったまばゆい存在感とともに、捲土重来を期す26歳が自らの意思で選んだ新天地での戦いがいよいよ本格化していく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)