背景を探る…なぜ南野拓実のサウサンプトンへの”駆け込み移籍”が決まったのか?
イングランド・プレミアリーグのサウサンプトンは2日、森保ジャパンで「10番」を背負うMF南野拓実(26)をリバプールから、今シーズン終了までの期限付き移籍で獲得したと発表した。 今冬の移籍期間が現地時間1日午後11時(日本時間2日午前8時)に締め切られたなかで、サウサンプトンは最終日になって南野の期限付き移籍交渉をリバプールとの間で開始。深夜にメディカルチェックなどが行われ、日付が変わった同2日未明に両クラブから電撃的に発表された。 文字通りの駆け込み移籍が成立した背景には、サウサンプトンが進めていた補強戦略の頓挫がある。当初はアーセナルのサイドアタッカーで、昨年にはイングランド代表にも選出されたエインズリー・メイトランド=ナイルズをターゲットにすえていた。しかし、移籍期間の最終日になって、同じプレミアリーグのウェスト・ブロムウィッチ・アルビオンへの期限付き移籍が発表された。 ターゲットの変更を余儀なくされたサウサンプトンが急きょ白羽の矢を立てたのが、加入して2シーズン目を迎えたリバプールで、直近のリーグ戦7試合でピッチに立ったのが途中出場のわずか一度、それも6分間だけとほとんど出場機会を得られていなかった南野だった。 昨シーズンの途中まで日本代表のキャプテン、DF吉田麻也(現サンプドリア)が7年半プレーしたサウサンプトンは、2018-19シーズンの途中から指揮を執るオーストリア出身のラルフ・ハーゼンヒュットル監督のもとで、[4-4-2]を主戦システムとして戦っている。 前線から連動したハイプレスを仕掛けていく上で、指揮官は選手個々の献身的で泥臭いハードワークを求める。セレッソ大阪から加入したザルツブルク、そしてリバプールで同じスタイルのもとでプレーしている南野へ、ハーゼンヒュットル監督はクラブを通じてこんなコメントを残している。 「重要なのは、タクミは私たちにとってふさわしいタイプの選手だということだ」 1日現在で8勝5分け7敗、勝ち点29ポイントで11位につけるサウサンプトンは、浮き沈みの激しいシーズンを戦ってきた。第3節から7戦連続無敗(5勝2分け)をマークした一方で、マンチェスター・シティに敗れた第14節以降の7試合でわずか2得点と決定力不足に悩まされている。