メカに置き換えていったら、残ったのは「脳と脊髄だけ」だった…じつは、軍事目的で、マジに研究が進む「サイボーグ」兵器
電子化して不老不死となった脳、意識をデータ化して取り出せる脳、記憶が書き換えられる脳、眠らなくてもよい脳、「心」をもった人工知能。SF作品において「脳」は定番のテーマであり、作家たちはもてる想像力を駆使して、科学技術が進んだ未来の「脳」の姿を描いてきました。 【画像】サイボーグで、そこまで生身のヒトの脳にこだわる意味がない、納得の理由 SF作品に描かれてきた、それらの「脳」は、本当に実現する可能性があるのでしょうか? 脳の覚醒にかかわるオレキシンや、「人工冬眠」を引き起こすニューロンを発見した神経科学者で、大のSFファンでもある著者が、古今の名作に描かれた「SF脳」の実現性を大真面目に検証する『SF脳とリアル脳 どこまで可能か、なぜ不可能なのか』。注目の本書から、興味深いトピックをご紹介します。 *本記事は、『SF脳とリアル脳 どこまで可能か、なぜ不可能なのか』(ブルーバックス)を再構成・再編集したものです。 宇宙空間に一人取り残されてしまったジェイムスン教授は、近くの惑星に文明が発生するのを待った。 ニール・R・ジョーンズ『二重太陽系死の呼び声』(1932年) 米国の作家ニール・R・ジョーンズの『ジェイムスン教授』シリーズは古典的SFの連作で、その第1作『二重太陽系死の呼び声』は1932年に発表された。 ジェイムスン教授は自身の死にあたって、死体をロケット内に密封し、人工衛星の中に保存しておく措置を講じた。それから4000万年が過ぎ、地球人類が滅亡したあと、教授は異星人であるゾル人に発見され、ゾル人の一般的なサイボーグ体として再生された。それは、円錐形で周縁にいくつも眼がついた頭部、四角柱型の胴体、6本の触手、4本の脚という異形(いぎょう)な姿だった。 サイボーグとして再生したジェイムスン教授は、ゾル人たちとともに、宇宙各地を冒険する。 『二重太陽系死の呼び声』は、二重太陽系の惑星の周囲をまわる宇宙船に一人取り残されてしまった教授が、その惑星に文明ができて助けてくれるのを数億年も辛抱強く待つという途方もない設定である。
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