メカに置き換えていったら、残ったのは「脳と脊髄だけ」だった…じつは、軍事目的で、マジに研究が進む「サイボーグ」兵器
サイボーグとはなにか
「サイボーグ」(cyborg)という言葉は、現在ではかなり馴染(なじ)みのあるものになっている。とくにわが国では、石ノ森章太郎の漫画作品『サイボーグ009』(1964年に『週刊少年キング』で連載開始、1968年よりテレビアニメ化)によって広く浸透したという歴史もありそうだ。 サイボーグという概念は、1960年に米国の医学者マンフレッド・クラインズと、 ネイザン・S・クラインらが提唱したものであり、もともとは「サイバネティック・オーガニズム」(cybernetic organism)の略語である(参考:M. E. Clynes and N. S. Kline: Cyborgs and Space, Astronautics, September, 26/27 and 74-76 (1960))。 つまり、生命体(organism)と人工のメカニズム(cybernetics)が融合したもの、という意味だ。 なんらかのメカニズムが生体に融合しているという意味では、単純な物理的装具である眼鏡や義歯を装着したヒトはサイボーグとは言いにくいが、心臓ペースメーカーや発声補助器具、電気式人工咽頭などのメカニズムを人体と融合させることは、サイボーグ技術と言ってもよいだろう。人工関節なども、動力や電子制御などはもたないものの、ある種のメカニズムであり、サイボーグ技術としてもよいかもしれない。 したがって、初歩的なサイボーグ自体はすでに、実用化されていると言ってよい。 とくに近年では、従来はSF作品の中でしか語られてこなかった各種のサイボーグ技術が、現実のものとなりつつある。たとえば、骨格筋が発する電気信号(筋電)を読み取り、その信号をもとに義手を意のままに動かしたり、義手に取りつけたセンサーの情報を神経へ送り返して感覚を取り戻したりする「筋電義手」は2006年ころから装用が可能になり、すでに実用段階に入っている。 将来は運動ニューロンや脊髄の信号(神経活動)を読み取って、義肢を動かすことも可能になるかもしれない。 このようなサイボーグ技術には、どのような実用性があるのだろう?
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