コロナ感染状況は「微増」 尾身氏「都市の感染ボリューム」下げる必要
今の新型コロナウイルスの感染状況は「微増」――。政府のコロナ分科会の尾身茂会長(地域医療機能推進機構理事長)は23日、日本の流行状況についての認識を示した。 【画像】感染リスクが高まる「5つの場面」 分科会が提示
実効再生産数「持続的に『1』を下げたい」
年末年始の休暇を分散して取るように政府に提言した23日の分科会後の会見で、記者から前日の厚生労働省のアドバイザリーボード(コロナ対策を同省に助言する組織)が感染状況について示した認識への受け止めを問われた尾身会長はこう語った。 「『微増』というアドバイザリーボードの評価は我々もそう思う。多くのメンバーは(分科会だけではなく)アドバイザリーボードのメンバーでもある。少なくとも減っているという感覚は、もちろん県によるが、都市部は下降状況ということではない」 22日のアドバイザリーボードは新規感染者数について「全国的に見ると、8月第1週をピークとして減少が続いた後、ほぼ横ばいから微増傾向となっており、 感染の『増加要因』と『減少要因』が拮抗していると見られる」と分析。 「実効再生産数」については「東京、大阪、北海道、沖縄などで、1をはさんで前後しており、直近1週間の平均は1を超える地域が多い。全国的には、1に近い水準が続いている」とした。 実効再生産数は、感染が広がっている状況下で「1人の感染者が平均で何人にうつすか」を示す数値で、これが「1」を下回れば感染が減少する可能性があるとされる。尾身会長は分科会後の会見で「もう少し本当は1を下げることが持続的になる」ことが望ましいと述べた。 一方で「今は爆発的な状況でも医療がひっ迫している状況でもない。今すぐに『ステージ3』から(次のステージ4へ)という段階ではない」との見方を示し、増加要因と減少要因の拮抗したバランスが崩れる可能性があるため注意する必要があるとした。
感染リスク高める「5つの場面」意識を
感染の減少要因を強くするには「都市部の感染ボリュームを少しでも(下げる)というのが必要だ」。そのためには、この日の会見で打ち出した「大人数、長時間に及ぶ飲食」や「マスクなしでの会話」など感染リスクが高まる「5つの場面」を避け、「感染リスクを下げながら会食を楽しむ工夫」などを徹底することが大事だと訴えた。 上記の「5つの場面」は「クラスター(感染者集団)が起きる典型的な場面」として紹介したとして、「お酒を飲んではだめと言っているんじゃなくて、『5つの場面』をみんなが十分理解してやることが社会経済を活発させることの条件」だと強調した。 「この病気はクラスターを介して感染する。5人感染しても他の人に感染させるのは1人だけ」と新型コロナウイルスの特徴をあらためて指摘し、行政機関や保健所が「(地域で)クラスターをどう早く見つけて、どう対応するかがこれからの肝だ」と述べた。