米FRBが量的緩和縮小 利上げはいつになる?
テーパリングと利上げの切り離しに躍起
パウエル議長の記者会見は、テーパリングと利上げの切り離しに重きが置かれました。2022年6月に資産購入が終了したら、直ちに利上げが実行されると予想する市場関係者が増えており、そうした見方に釘を刺す意図があったとみられます。利上げの予想が強まると、長期金利の上昇を通じて株価が下落する可能性が高まります。景気を冷やす要素が増えることを警戒したのでしょう。 パウエル議長は「テーパリングの開始は金利政策と直接はひも付かず、利上げ前にはより厳しい経済条件のテストを満たす必要がある」として、労働市場の回復を辛抱強く待つ姿勢を示しました。一方で「最大雇用の達成が来年後半に可能かというと、答えはイエスだ」とも述べ、2022年後半ないしは2023年前半の利上げ開始をほのめかす姿勢も垣間見えました。2022年中に2回強の利上げがあるとする市場参加者の予想を一部追認した形です。 今回のFOMCで得られた示唆は、12月FOMCで更新されるドットチャートの中央値が上方シフトする可能性が高まったことです。ドットチャートとは、各年末時点におけるFF(政策)金利の水準を18人のFOMC参加者が示すもので、3か月に一度更新されます。9月のドットチャートはその中央値が「0.5回」の利上げがあることを示す水準となり、金融市場参加者に“タカ派”的(金融引き締めに前向き)と受け止めらましたが、12月FOMCではパウエル議長を含む中枢メンバーが2022年利上げ開始派に転向し、2022年末の中央値が「1回」の利上げを示唆する水準に上方シフトする可能性があります。そうなれば、2022年終盤に利上げが実施される蓋然性は高まります。
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