吉野家が美容に本格参入! ダチョウのオイルに力を入れる理由
牛丼でおなじみの吉野家が、化粧品業界に本格参入を発表した。 ブランド名は「SPEEDIA(スピーディア)」。キー成分となるのは、同社の代名詞とも言える牛ではなく、ダチョウ由来のオーストリッチオイルだ。 飲食業から化粧品業界へと進出する理由、オーストリッチオイルの効果について吉野家ホールディングス・SPEEDIAの辻智子さんと、練木寛子さんに話を聞いた。
ダチョウの可能性を感じ、自社牧場を設立
ー牛肉のイメージが強い御社が、なぜダチョウに力を入れはじめたのでしょうか? 辻: 吉野家は今年、創業125年、チェーン展開を開始して56年目を迎えたのですが、弊社の歴史は、常に牛肉をめぐる情勢に左右され続けてきました。 多くのお客様に愛されてきた牛丼の品質を守りながら、持続的に事業を成長させていくためにはどうしたらいいかと考えた結果、牛肉だけに頼らない畜種分散を行うことが必要だという結論に達しました。 また、食糧の社会課題もありました。人口増加や気候変動など、さまざまな課題があるなかで、人々の健康を支え続けるためには、1つの食糧に集中するのは避けて、多様なものを選択するべきだと考えたのです。
ー食料品や日用品が値上がりをしていますが、価格と品質を守るためにも、牛肉以外に目を向ける必要があったということですね。 辻: はい。吉野家では2000年代前半から問題意識を持って、さまざまな取り組みを行ってきました。たとえば、牛丼に続く第2の柱として鶏のから揚げの提供や、次世代の代替肉=オルタナティブミートの研究も進めています。 そんななか吉野家ホールディングス代表の河村泰貴が出会ったのが、オーストリッチミートでした。実際に試食をしたところ、味は牛肉の赤身に似ていて、とてもおいしくて、さらに飼料効率もとても高いということがわかりました。 実は私は元々、栄養機能を専門分野とする研究者でして、健康を軸とした差別化戦略の推進のために吉野家ホールディングスに招聘されました。 「特保牛丼」や、植物工場用レタスの新品種の開発などに関わってきましたが、オーストリッチも差別化戦略のための素材のひとつとして、取り組みを開始することになりました。 そして、より高付加価値化へ向けて研究を加速させようと、2017年にはオーストリッチの牧場の運営をスタートさせました。自社牧場を持つことにより、生産、飼育、用途研究を一気通貫で行うことが可能になりました。 その研究のなかで発見されたのが、オーストリッチオイルの美容効果です。