なぜ日ハム1位指名194センチ大型右腕の達孝太(天理)は「大谷翔平ではなくダルビッシュ有を参考にしたい」と語ったのか
しかし、意外にも達は、理想像を大谷ではなく、同じく日ハムからメジャー移籍を果たしたダルビッシュに求めた。 「メジャーの試合はよく見ています。参考にしているのはダルビッシュさん。大谷さんは僕とはタイプが違うので…。メジャーの投手としては迫力がそれほどない。その点、ダルビッシュさんはアグレッシブ。自分ももっともっと上を目指していきたい」 ダルビッシュの他にサイヤング賞を3度獲得したドジャースのマックス・シャーザー、昨年、ダルビッシュとサイヤング賞を争ったドジャースのトレバー・バウアーの名を挙げ「3人を足して3で割ったような投手になりたい」と話した。その理由としてダルビッシュは「ボールの操り方と強いボール」、シャーザーは「力感がないフォームからあれだけスピンがきいた回転数のあるボールを投げる」、バウアーは「野球に対する考え方をリスペクトしている」と、それぞれの学びたい長所を説明した。 日ハムはダルビッシュ、大谷、有原航平ら、メジャー移籍を希望する投手のポスティング移籍を容認してきた実績と理解のある球団。達にとってもまさに理想のチームに指名されたことになる。 達の魅力は、その無限大の将来性だ。 栗山英樹監督も、こう評価している。 「真っ直ぐでしっかり押し切れて、スケールとして日本のエースでもあるし、世界で勝負ができるくらいの成長度合いの幅がもの凄く大きい選手。5年後、10年後、どんなピッチャーになっているのか。駆け上がる姿をみたい」 そのほれ込みようは半端なく「僕だけでなく、球団全員の思いで大きな夢を達君にかけています。待っています」と熱い思いを届けた。 達自身も、将来をみつめて1日1日を大切に過ごしている。夏の甲子園予選では奈良大会準決勝でサヨナラ負けし、スタミナ不足を露呈したが、その後は実戦練習とともに大阪市内のジムで筋力トレーニングに取り組み、肉体改造にも成功しつつある。大会前に193センチ、84キロだった肉体は194センチ、89キロと大きくなった。成長過程を見てきた父の等さんも「ひと回り体が大きくなった」と太鼓判を押す。達自身も「年明け、新人合同自主トレのときまでには90キロ台にしたい」という。 体幹の強化に伴い、球速もアップした。9月初旬には最速を1キロ更新して149キロをマーク。150キロの大台突破も時間の問題のようだが、本人は「スピードそのものにこだわりはない。ソフトバンクの和田毅さんのようにスピードはそこまで出なくても回転数であったり、投球フォームの見えにくさで抑えている」と理論的だ。 ダルビッシュのYouTubeをみてデータ測定器の「ラプソード」を購入。ストレートの回転数は200回転アップ。「いまはアベレージで2400回転ぐらい」とメジャー級の数値をはじき出しているという。 「北海道は行ったことがなく、寒い印象。1年目は周りのサポートも受けながらしっかりとプロの生活に慣れ、長くプロで活躍できる選手になりたい。自分の強みは身長。他の人にない角度や軌道を出せる」