衝撃弾の久保建英「欧州中で注目」 ソシエダ番記者大絶賛…リバプール移籍浮上「悲しい出来事になる」【現地発コラム】
久保が明かすゴールの舞台裏「監督が前に行けと言っていたので…」 現地メディア絶賛
試合後のミックスゾーンでは、ほぼすべてのスペインメディアが久保の言葉を聞くため、取材待ちをしていた。それは日付が変わるまで続き、久保はそのすべてに真摯に対応した。 久保は得点シーンの質問に対し、「ボールを受けた瞬間はうしろに戻そうと思ったが、監督が前に行けと言っていたので、最後だし行ってみようかなと。そこからはイメージどおりだった。少し縦に行くふりをして中に入り、そこからシュートを打とうと決めていた」と、狙いどおりのゴールだったと明かした。 今後のELについては「最低限ホームの2試合に勝ち、残りのラツィオにも勝てればベスト。正直プレーオフの2試合はきついので」と話し、今季の個人的な目標については「アシストに関しては未知数だけど、とりあえずゴールは見えてきているんで、しっかり10点は決めたい」と意気込みを語った。 この試合における久保をスペインメディアは総じて大絶賛した。クラブの地元紙「エル・ディアリオ・バスコ」は、「1得点1アシストを記録。スター選手の久保が一緒にいてくれる間、我々は彼のプレーを楽しまなければならない。ゴールネットを揺らすまで相手と対峙し続けた」と称賛し、チーム唯一となる最高の5点をつけた。 もう1つの地元紙「ノティシアス・デ・ギプスコア」は久保をベストプレイヤーに挙げ、「いつもどおりの非常にクレバーなプレーで先制点を演出した。彼にとって最も輝かしい夜ではなかったかもしれないが、チームで一番危険な存在だった。常に違いを作り出し、ゴラッソを記録した」と評し、チームトップの8点(最高10点)。全国紙の「AS」は最高の3点、「マルカ」は2点(最高3点)とともに高評価した。
ソシエダ番記者「久保は復調してくれた」 存在感発揮「プレミア行きの話が…」
試合後、スペインのラジオ局「カデナ・コペ」で実況を務めたマウリシオ・イディアケス氏に話を聞くと、この日の久保の活躍を大いに喜んでいた。 「久保は復調してくれた。これまで本調子でないと感じることが何度もあったが、今日は相手に大ダメージを与え、さらに自身の数字も残してくれた。前半はアヤックスが2、3点リードしていてもおかしくない試合展開だった。しかし相手がそのチャンスを逃してくれたからといってラ・レアルが試合に勝てるわけではない。自分たちのチャンスを上手く生かしたという点で、今日の久保は本当に素晴らしかった」 「アヤックスの18歳のDF(ヨレル)ハトはかなり良かったので、久保は今日、右サイドで対峙した彼に抑えられるのではないかと私は実況で話したが、そうはならなかった。久保は徐々にパフォーマンスを高めていき、後半アランブルとの連携でゴールを生み出した。あのシーンではタイミングを上手く図り、バレネチェアがいい形でシュートできる位置に入るのを待っていた」 「久保は最近、たとえばサン・マメスでのアスレティック戦など、いつもよりレベルが落ちたプレーをしていることがあったが、調子を取り戻してくれたので私はとても嬉しいよ」 またその信憑性はともかく、リバプール移籍話など、徐々に久保の去就の情報が出始めていることについてはこう話した。 「今、プレミアリーグ行きの話が出ているが、実際に久保が去った場合、悲しい出来事になるだろう。昨日(11月27日)のチャンピオンズリーグの試合を見たが、リバプールはスピードで圧倒し、レアル・マドリードは劣勢に立たされた。肉体的に厳しいリーグで久保がその要求に応えられるかどうかは分からない。しかし今日アヤックス戦で彼が披露したパフォーマンスは、間違いなくヨーロッパ中で注目されるほど並外れたものだった」 ソシエダは休むことなく、クリスマス休暇までの約3週間で公式戦6試合に臨むことになる。しかし久保はそのことを意に介していないようだ。「おそらく週1回しか試合がないチームに行ったらもっと試合をしたくなる。個人的には過密日程に感謝したい」と多くの試合を戦えることを歓迎していた。 シーズンのスタートダッシュに失敗したラ・リーガとELで、チームが順位を上げるためには久保の力が必要だ。そのため怪我することなく最近の好調を維持し、今季前半戦を終えることを願いたい。 [著者プロフィール] 高橋智行(たかはし・ともゆき)/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。
高橋智行 / Tomoyuki Takahashi