ギンザメの新種が見つかる、3億7500万年前から変わらぬ姿の深海魚 定説覆した発見
実は世界中に分布する種ではなかった、ギンザメの多様さを示唆、NZ沖
ニュージーランド沖の深海で、幽霊のようなサメの新種が発見された。幽霊のようなサメとは、世界中の海に生息する原始的な魚ギンザメのことで、“ラットフィッシュ(ネズミ魚)”“エレファントフィッシュ(ゾウ魚)”“ラビットフィッシュ(ウサギ魚)”などの別名もある。今回発見された新種は、英語ではオーストララシア・ナロー・ノーズ・スプークフィッシュと名付けられた。論文は学術誌「Environmental Biology of Fishes」に2024年8月に発表された。 【関連写真】ギンザメの新種Harriotta avia 大きな丸い目、とがった鼻、翼のようなひれを持つギンザメは、幽霊というより「かわいい」魚だが、深海に暮らしているため、ほとんど解明が進んでいないと米国カリフォルニア州サンノゼ州立大学太平洋サメ研究センターの所長デイビッド・エバート氏は話す。エバート氏は新種を発見したチームの一員だ。 しかし、無人潜水機(ROV)などの新技術のおかげで、既知のギンザメ59種のうち、過去20年間に27種が発見されている。そのうち3種は2024年に発見されたばかりで、スプークフィッシュはそのひとつだ。 研究を率いた水産学者のブリット・フィヌッチ氏は、ニュージーランド周辺に生息するギンザメは世界中に広く分布しているとされる種ではなく、固有種ではないかと考えていた。 「(私たちのチームは)この疑問を調査することに決め、数年かけてサンプルを採取し、博物館の標本を調べ、遺伝子を解析した結果、答えが見つかりました」と、ニュージーランド国立水大気研究所に所属する氏は、ナショナル ジオグラフィックのメール取材に返答した。 フィヌッチ氏はこの新種をHarriotta aviaと命名した。Harriottaはラテン語でアズマギンザメ属、aviaは祖母を意味する。 ギンザメは「古い魚類、つまり、おばあさんやおじいさんにあたるため、この名前がふさわしいと思いました」とフィヌッチ氏は声明で述べている。