12年ぶり古巣J2ジュビロ磐田にコーチで復帰の”ゴン”中山雅史氏が歩み始めた「監督への道」
「2015年から2020年までの6シーズン、ほぼリハビリで過ごしましたが、U-18のコーチをこの2年間させていただき、日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会にも出場し、子どもたちの成長を見る事ができたことを幸せに思います」(原文ママ) 両ひざの痛みを克服してピッチに立つためのトレーニングと解説者などの活動、そして未来ある子どもたちの指導を並行させた2年間は、かつて中山氏があげた、監督業を担う上での根幹に位置する「情熱」がたぎっている跡を物語る。そして、晴れて公認S級コーチライセンスを取得した次のシーズン、というタイミングで、前身のヤマハ発動機時代から20年間所属してきた古巣に復帰した。 1年でのJ1復帰を目指した昨シーズンの磐田は、新型コロナウイルスによる中断明けから結果が伴わない戦いが続き、10月に入ってスペイン出身のフェルナンド・フベロ監督を解任。昨シーズンから強化本部長を務めていた鈴木政一氏を、実に16年ぶりに監督へ復帰させた。 同時に日本代表で最多出場記録をもつボランチ、遠藤保仁をガンバ大阪から期限付き移籍で獲得。シーズン途中でポゼッションスタイルへの転換を図り、鈴木監督の就任後に一時は14位まで下げた順位を最終的は6位にまで浮上させたが、目標とした2位以内までは遠く及ばなかった。 元日に66歳となった鈴木監督が引き続き指揮を執る今シーズン。遠藤の期限付き移籍延長が目立った補強となっている現状で、求められるのは現有戦力の底上げとなる。とりわけ期待されながらなかなか殻を破れず、昨シーズンの終盤戦ではチームの規律に違反したとして謹慎処分を受けた東京五輪世代の23歳、FW小川航基を一本立ちさせることが中山コーチに託される仕事のひとつになる。 磐田のコーチ就任発表から数時間後。コメンテーターを務めるテレビ朝日系『報道ステーション』に生出演した中山氏は、今回も「現役選手のトレーニングをひとまずやめます」と、引退の二文字を使わなかった理由を「まだ(現役に)未練があります。でも、この先が見えないこともわかっています」と説明しながら、コーチとして本格的に歩み始める指導者の道への熱き思いも明かした。 「コーチ業を疎かにすることなく、選手たちに向き合って監督をサポートしながら、全力を投じていきます。戦う集団にしたいと思っています」