12年ぶり古巣J2ジュビロ磐田にコーチで復帰の”ゴン”中山雅史氏が歩み始めた「監督への道」
鈴木監督とは指揮官とエースストライカーという関係で、2002シーズンにはファースト、セカンド両ステージを制覇しての完全優勝を達成した。今度は指揮官とコーチに関係を変えて、まずは磐田がいるべきカテゴリーとなるJ1への復帰に全力を注ぐ。その過程でトップチームを指導するコーチとしての自信を身にまとい、濃密な経験をもつベテランの鈴木監督からチームマネジメントも学ぶ。 66歳という鈴木監督の年齢を考えれば、J1復帰を果たした先に指導者の世代交代も磐田には求められるだろう。ワールドカップ代表に2度名前を連ねた、47歳の服部年宏氏がヘッド格を務めるコーチ陣に、監督に必要な公認S級コーチライセンスを取得して間もない、いわば満を持したタイミングで中山氏が加わった状況からは、ごく近い将来に磐田側が思い描く青写真が伝わってくる。 中山氏があげた157ゴールはJ1歴代3位タイにランクされ、磐田での4試合連続ハットトリック達成や、国際試合で開始3分15秒に達成したハットトリックがギネス記録に認定された。ただ、レジェンドだからといって、そのまま監督というポストが用意されるほど甘い世界ではない。 指揮を振るうための資格をようやく得て、スタートラインに立った中山コーチはトレードマークでもある情熱に、数多くのゴールをあげるためにフル稼働させてきた明晰な頭脳、そして磐田へのクラブ愛を融合させながら、新シーズンへ向けて始動する18日から新たな戦いをスタートさせる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)