日銀・黒田総裁会見9月17日(全文3完)途中で辞めるつもりはない
2%超でも金利引き下げはしばらく控えるのか
A:それではテレビ会議システムを通じて、別の会議室から質問をお受けいたします。挙手いただきましたら広報課員が指名させていただきますので、前方のマイクでご発言ください。それではご質問はございますでしょうか。 日本経済新聞:日本経済新聞の清水と申します。よろしくお願いいたします。先ほど総裁は、FRBが決めた新しい政策と日銀が4年前から手掛けているオーバーシュート型コミットメント等の金融緩和政策は軌を一にしたものという趣旨のご発言をされました。ということは、今後日本で物価上昇率が2%を上回った場合も、単にマネタリーベースの拡大方針を継続するのみならず、金利の引き上げもしばらくは控えるという理解でよろしいのか。さらにその後、日銀が金利を上げるとしても、その際の判断材料としてFRBと同様に単に物価動向だけではなく、雇用市場の動向にも配慮するということなのか。その辺りのご認識をお聞かせください。 黒田:この点については、FRBも金融政策のフレームワークの見直しをやってきて、平均インフレターゲットのような、平均して2%と。従って2%をかなり下回っていた局面があれば、その後2%を少し上回る時期が続いても差し支えないという考え方でありまして、それは先ほど来申し上げているとおり、私どもも2016年からそういった考え方でやってると。そういう意味では、2%の物価安定目標というのは2%が天井になってるとかそういう話じゃなくて、平均的に2%を達成すると。ですから2%を下回る時期があった場合には、その後2%を上回っても差し支えない。そういう考え方自体はFRBとまったく変わらないというふうに思います。 その上で、具体的にそういう下でどのような金利や、あるいは量的な資産買い入れプログラムを動かしていくかということは、それはそれぞれの経済あるいは金融情勢によって判断されることであるというふうに考えております。従いまして、先ほど来申し上げているとおり、私どもの長短金利操作付き量的・質的金融緩和の下で、いわゆるイールドカーブ・コントロールでは、政策金利をマイナス0.1%、10年物国債金利の操作目標を0%程度というふうにしているわけですけども、それは場合によってはそれ以下になると、それを下げるということはありうるということまで申し上げているわけであります。 いずれにせよ具体的な金融政策措置というものは、今申し上げたような平均的な2%目標、つまり下回っている時期があれば上回っても差し支えないという基本的な考え方の下に、そのときそのときの経済・物価情勢、金融市場の状況を踏まえてそれぞれ適切に対応するということではないかと思います。