日銀・黒田総裁会見9月17日(全文3完)途中で辞めるつもりはない
規制改革はあくまでも政府の役割
それから規制改革、構造改革というのはさまざまな痛みを伴うということはそうですけども、他方でそれに対するセーフティーネットっていうかそういうものも、すでにあるものを含めて政府はお考えだと思いますので、今のような状況だと規制改革ができないということではないと思います。むしろある意味でいうと、経済が非常に大きなショックを受けて、方向がどういうふうにいくのかっていうことが議論になっていって、ある意味でいうと難しい状況にあるわけですけれども、他方で、そうだからこそ構造改革っていうか規制改革が必要だっていうこともある程度広く認識されていると思いますので、私自身は規制改革というものが実行されるという可能性は十分あると思っていますけども、いずれにせよこれはあくまでも政府の役割。 日本銀行としては、もちろん金融緩和を通じて、一種のセーフティーネットというかそういうものを引き続き供給していくという用意はありますけれども、あくまでもその中身につきましては政府がお考えになってやられることだと思っております。
ETFの買い入れ長期化に問題はないか
朝日新聞:朝日新聞の寺西です。2点伺いたいんですけども。第2次安倍政権では株価が結構、歴代政権の中でも上がりまして、ETFについてなんですけども、日銀が、ETFの買い入れが長期化しまして、今はETF市場のだいたい8割ぐらいを占めるようになっていると。それでETFの買い入れが長期化して、日銀がETFを通じて間接的に保有する日本企業の株も増えていますということで、長期化に伴う市場のゆがみとか企業のガバナンスへの影響を指摘する声もありますが、この辺り総裁、どうお考えなんでしょうかという点ですね。 特に最近、ESG投資っていうのが、コロナを受けて相当民間の機関投資家は活発になっておりますが、日銀はETF保有者ではありますが、企業の株主の議決権行使には関与されないということで、日銀が保有しなければESGに関心のある機関投資家が、その企業の社会課題の解決とかそういう取り組みを後押しするという効果が、日銀が買うことによってそういう効果を弱めているんじゃないかという指摘もありますが、ETFの買い入れ長期化に伴う副作用について総裁はどうお考えでしょうかというのが1点目です。 あともう1点もETFなんですけども、気候変動リスクなんかで、欧州中央銀行なんかではグリーンな量的緩和ということで、グリーンQEということで、グリーンボンドの買い入れなんかを検討されているような報道があります。それで、日銀はETFの買い入れについて、買い入れ対象は設備とか人材投資に積極的な企業とか、女性活躍に積極的な企業を対象にするインデックスが設けられておりますが、環境に関しては特にこの基準っていうのは現時点ではありませんので、ETFの買い入れに際してそういう環境配慮とかESG配慮みたいなものを今後、設けられるようなお考えっていうのは総裁、おありでしょうか。 黒田:まず、市場にあるETFの相当分を日本銀行が保有しているということは事実ですが、東京証券取引所の株価総額から見れば、6%ぐらいだったと思いますが、数字は今、手元にないんですけども、いずれにせよそれほど大きなものではありませんので、それが日本の株式市場をゆがめるっていうことにはなってないと思います。