アパレルブランド「REINA IBUKA」が紡ぐ、秩父の伝統工芸
その後、「秩父太織」は「秩父銘仙」と名を変えていきます。 「秩父銘仙」は経糸に模様を型染めするほぐし捺染という技術により大胆で華やかなデザインの、表裏のないのが特徴の絹織物です。角度によって色の見え方が異なる玉虫効果が見られるものもあります。銘仙は大正・昭和初期に流行した着物地として知られ、足利、桐生、伊勢崎、秩父、八王子の産地がありますが、現在も織られている産地は秩父のみです。 秩父太織も秩父銘仙も美しいものを織り上げるには、高度な熟練の技術が必要とされる絹織物になります。
人々の心を豊かにする服
ーブランド“REINA IBUKA”のコンセプトについて教えてください。 コンセプトは、「身につけると心が豊かになる服」です。 パリでブランドを立ち上げて以来多くの方からありがたいお言葉をいただいてきました。 産後の疲労期に私のランジェリーを身につけて女性のトキメキを思い出し、今でも親子代々で着てくれている方、セミオーダーでお作りした寒い地方に住まわれているシニアの方からは、人生最後に薔薇色だわという感想をいただいたり、パリ時代に本場のレースでウェディングドレスをお作りしたご夫婦にはずっと温かいお言葉をいただいており、今でも遠方より展示会ごとに私の作品を身につけて来てくださっているので、お会いしお話を交わすのが楽しみになっています。 このような言葉をいただくたびに、服づくりの原点である「心を豊かにする」という思いを再確認してきました。 昔から自分自身が、ランジェリーも含め好きな服を身につけると気分が高揚し心が豊かになると実感していました。それを人にも届けたいと思ったのかもしれませんが、パリのブランド時代から皆さんが私の服に対してそう感じてくれていて、そしてここ秩父でも同じ想いで制作をしています。お客さまの喜ぶ笑顔を見ると私も豊かな心になれるのです。そんな服作りを続けていきたいです。 現在織られている高品質な伝統絹織物で、信頼のおける技術で縫製してもらっていますので、どちらかというと高価な製品になりますが、お客さまには丁寧に説明をし価値を理解していただき、よいものを長く着ていただきたいと思います。