息子2人が不登校になった医師、対処わからず「気持ちどん底」 妻に気づかされた息子の心情 #令和の子 #令和の親
「学校に行かないから白い顔をしているんだ」
特に、昔の子育て・教育観が染みついた実母との意見の相違は、大きなストレスになったといいます。 「母に息子たちの不登校を告げると『引きこもりになったらどうするの』と大騒ぎでした。『とにかく学校に行かせなさい。午前中だけ行かせてみたら?』とか『この塾に行ってみたらどう?』と、とっくに試したことや、実情にまったく合っていないアドバイスが多くて。よかれと思ってのことだと理解はしつつも、疲弊していきました」 無理に行かせることはしないと伝えれば、理解できないと猛反発を受けます。「どうしてこんなふうになっちゃったんだろう……」という一言は、疲弊した心にトドメを刺すほどでした。 わらにもすがる思いで頼った専門家には、心が救われることが多かった一方で、傷付けられることもあったそう。 「臨床心理士のかたからの『不登校は親の責任ではない。ただ単に今の学校が合っていないだけ』という言葉にはとても救われましたね。ほかにも、たくさんお世話になったかたがいます。一方で数年前の話ではありますが、ある専門家からは、登校させないのは親の責任と言わんばかりに責められたこともあります。『学校に行かないからそんなに白い顔をしているんだ』と直接息子に言ったかたもいて、愕然(がくぜん)としました」
精神が蝕まれないための自衛を
周囲の思わぬ無理解を突きつけられ、精神が蝕まれていく中で、かにーじゃさんは「どんな人とも相性がある」ということに気付きます。 「相性があるからこそ、あくまで他の人の意見は参考程度にとどめることが大切だと思い至りました。負担に感じるようなら、距離をとって自衛すること。そうしないと、心を蝕まれます」 不登校に家族だけで対応すると孤立してしまうことから、外部の専門機関などに支援やアドバイスを求めたり、悩みを聞いてもらったりすることは、有効な対応策の一つ。ただし、かにーじゃさんは、特定の人に理解してもらうことに固執しないほうがよいと指摘します。 「自分たちの状況のすべてを理解してもらうことは、誰にだって不可能です。相性が合わなければ線引きをして、別のかたに頼ってもいい。そうすることで、自分の心を自衛できます」