【毎日書評】自己肯定感の高い人は、自己効力感も高くなる。その理由は?
近年、「自己効力感」ということばを耳にする機会が増えたように感じます。でも、それは具体的にどのようなものなのでしょうか?『レジリエンスが身につく 自己効力感の教科書』(工藤紀子 著、総合法令出版)の著者による説明を引用してみましょう。 自己効力感(セルフエフィカシー)は、スタンフォード大学教授の心理学者アルバート・バンデューラ博士によって提唱された概念です。 自己効力感は、「自分ならできる」「自分ならきっとうまくいく」と自分の能力やスキルに対して、信じられている認知状態のこと。「自信」に近いものですが、ただやみくもに「できる」と思うのではなく、明確な根拠に裏打ちされた自信といえます。(「はじめに」より) 生きていくうえでは苦難も多く、たとえば一生懸命働いたとしても、その結果が運に左右されると信じてしまい、変化をポジティブに捉えられないことも少なくはありません。しかし、満足できる人生を実現するためにも、正確な行動を選び取れる能力である「自己効力感」を持つことが重要であるということ。 自己効力感を持つことができれば、「自分の人生は主体的に自分でつくり上げていける」という感覚のもとで、あらゆる目標にチャレンジすることが可能になります。さらに、未来が予測不可能な時代においては、「変化を喜んで許容する」姿勢を持てることが、想定外の変化を好機にして飛躍できるかどうかの決め手になるかもしれません。 なお、そこでは「レジリエンス」(resilience)──困難な状況であっても、それを乗り越えていく逆境力や精神回復力──が試されるのだそう。そしてこのレジリエンスを高めるためにもっとも効果的な方法が「自己効力感を上げる」ことだと著者は主張するのです。 2013年に一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会を設立し、個人、企業、教育現場の3万人以上の人々に「自己肯定感」(セルフエスティーム)の研究を実施してきたという人物。そうした活動を通じ、個々の自己肯定感が向上すると、さまざまな効果が出ることを実感しているのだそうです。 しかし、そもそも「自己効力感」と「自己肯定感」はどう違い、どのように結びついているのでしょうか? 第1章「これからの時代を生き抜くために必要な『自己効力感』の基礎」の中から、その答えを探し出してみましょう。