更年期症状の治療に「プラセンタ」を「おすすめできる人」とは?微妙に知られざるプラセンタの利点、極めた専門医が解説
更年期症状にHRTが「いまひとつ」だった人。プラセンタをぜひリクエストしてみて
ちなみにまで、五十嵐先生は日頃のご治療の中で、どのような更年期症状にもっともプラセンタの手応えを感じますか? 「何かにピンポイントで効くというよりは、全体的な身体状態が全部底上げされ、その結果苦しんでいた症状が消えるという印象です。ですから、だるさ、倦怠感、肩こり、頭痛、ほてり、不眠、関節痛といった主要な更年期症状にほぼ効果を感じますし、それ以外に肌やPMSというような随伴症状にも手応えがあります」 五十嵐先生は、更年期症状だと訴えて来院した患者さんたちに一定の割合で、DHEAなどのホルモンが足りていない、甲状腺の状態に問題があるなど、他のトラブルを抱える人を見出しているのだそう。更年期障害だと診断するためには背景に他の疾患がないかの除外診断が必須ですが、それについても「妊娠を希望されている患者さんの中には、治療が必要な数値ではないが甲状腺がいまひとつ」という中間の状態があり得ると言います。 「そもそも女性ホルモンの値も日々、波のような変動があります。採血してみて今日のホルモン値は十分でも、昨日がどうだったかはわかりません。一般に生理がまだ順調な間は更年期障害とは診断されませんが、そんな人でも症状から診断してHRTを始めてみると調子が上向くことはよくあり、検査数値はあくまでも目安でしかないなと実感します。こうした、はっきりしない状態での次の手としても、またホルモン補充がどうにもいやだなという人にも、価値が十分にありますから、ぜひ医師にリクエストしてみてください」 HRTか漢方かという選択肢にもう一つ、プラセンタも加えてほしいと五十嵐先生。 「ひとつ問題があるとすると、注射が苦手な人には困難なところでしょうか。更年期障害はHRTに反応しないノンレスポンダントという人が2割いるように感じます。患者さんが自分にあった治療を探していく中、わざわざプラセンタを除外する必要はないと思います。強力な選択肢になりますから、ぜひご記憶いただきたいのです」 この記事では五十嵐先生が注力するプラセンタ治療のメリットを聞かせていただきました。プラセンタの知見が豊富な先生は案外「多くはない」ので、もし通える範囲にお住まいでしたらぜひいちど五十嵐先生にご相談を。 さて、あなたの周囲に「生理痛」に苦しむ「子ども」がいませんか? 地域の婦人科医療を手掛ける五十嵐先生は、最近の「10代だけでなく、8歳9歳の子どもの生理に起きている異変と治療」にもご知見をお持ちです。後編記事をご覧ください。 五十嵐レディースクリニック 院長 五十嵐 豪 先生 聖マリアンナ医科大学 産婦人科学臨床教授。聖マリアンナ医科大学を卒業後、産婦人科を専門に研鑽を積む。母校の大学病院で18年にわたって経験を重ね、「南生田医療モール」にて開業。
オトナサローネ編集部 井一美穂