更年期症状の治療に「プラセンタ」を「おすすめできる人」とは?微妙に知られざるプラセンタの利点、極めた専門医が解説
更年期障害の治療法には現状大きく言ってホルモン補充療法(HRT)と漢方があります。あまり語られていませんが、もう一つの選択肢がプラセンタの注射。 「プラセンタは、みるみる全快!というわけではないのですが、いざ治療を止めると『先生、やっぱり打っていただいていたほうが調子がよかったです』と患者さんが戻っていらっしゃる。説明しきれない力を秘めた不思議な治療法だなと感じます」 こう語るのは聖マリアンナ医科大学 産婦人科学臨床教授の五十嵐豪先生。日本プラセンタ医学会の理事を務め、プラセンタを用いた更年期障害治療の第一人者である先生に詳しくお話を伺いました。
意外?プラセンタはじつは90年以上前から研究されてきた、長い歴史を持つ更年期障害の治療法
「プラセンタを用いた更年期障害の治療は1930年代、当時はまだソ連だったロシアで開発されました。当初は冷蔵した胎盤を皮膚に埋め込む『組織療法』というダイナミックな方法でしたが、それでは応用しにくいため、やがて現在のように製剤を注射するようになりました」 驚くような経緯を持つプラセンタでの更年期症状治療。現状日本で主流のプラセンタ治療法は週2~3回の注射です。45~60歳の更年期障害の治療には保険が適用され(地域差あり)、主にほてり、不眠、関節痛、頭痛など典型的な更年期症状に軒並み手応えを感じると五十嵐先生。 「プラセンタは更年期障害全般に強いのですが、不思議なことに、ヒトの胎盤から作られているものの女性ホルモンは含有されていません。現在のところ、16種類のアミノ酸,核酸塩基,キサンチンおよび6種類のミネラルを含むと判明しています。正確に調べれば定量下限値以下の微々たる女性ホルモンは存在するものの、作用を期待できる量ではありません」 女性ホルモンを含まないながら、医師は経験的にプラセンタが有効であることを知っています。慣れた医師はよく使うものの、作用機序が正確にはわかっていません。そのため、五十嵐先生が日本プラセンタ学会の学会長を担当した際に聖マリアンナ医科大学難病治療センターと共同で基礎研究を開始したところ、一定の成果を挙げたそう。この内容をプラセンタ学会や他の産婦人科・アンチエイジングにまつわる学会でも発表しているそうです。