起源は東南アジアの山岳民族? 職人が教える「江戸前寿司の歴史」
寿司職人の小川洋利さんは、日本のすし文化を全世界に広めるため、世界50カ国以上にわたって、すし指導員として外国人シェフに調理指導をされています。本稿では、小川さんが海外で目撃した「驚きのSUSHI事情」について、書籍『寿司サムライが行く! トップ寿司職人が世界を回り歩いて見てきた』からご紹介します。 【写真】アメリカ人観光客が驚いた「駅弁の美しさ」 ※本稿は、小川洋利著『寿司サムライが行く! トップ寿司職人が世界を回り歩いて見てきた』(キーステージ21)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
寿司の語源・由来 「寿司」「鮨」「鮓」の違いって?
「寿司」という言葉自体は、酸っぱいものとしての意味で「酢し」とよばれたのが語源です。 「寿司」にも「寿司」「鮨」「鮓」などの表記がありますが、違いをご存知でしょうか。「寿司」は江戸時代中期から使われた当て字だそうです。「寿(ことぶき)」を「司(つかさ)」どるという縁起をかついだ当て字で、全てのスシの総称です。 酢と調味料とを適当にまぜ合わせた飯に、魚介類などをとりあわせたもので、おしずし、はこずし、にぎりずし、まきずし、ちらしずしなどさまざまなものがあります。握ったり、型に入れたりして作るものだそうです。 「鮨」は魚醤、つまり調味料の一種を表す言葉でした。中国では魚の塩辛を意味する文字ですが、「鮓」と混同されて使われるようになった漢字だそうで、にぎり鮨、押し鮨、ちらし鮨、箱鮨、棒鮨などという使い方をします。 「鮓」は、魚を発酵させて作るものです。古くから行われてきた手法で、塩や糠に漬けた魚や発酵させた飯に魚を漬け込んだ保存食を意味します。実はこの言葉が「すし」を表す漢字として最も適切と言われています。鮒鮓、鮎鮓、鯖鮓など......。「馴(な)れずし」がこれに当てはまります。琵琶湖地方の名産の「鮒鮓(ふなずし)」はこの代表格です。 関東は鮨を、関西では鮓を使うところが多いようです。鮨と鮓の文字の使い分けには、明確な区別がないのが現状のようです。日本では昔(奈良時代)、鮨・鮓は魚介の漬物のことを言いました。めでたいときは「寿司」を使うのがよいですね。そして今では世界共通語の「SUSHI」へと広がってきました。