どん底に落ちた不登校を機に夢を叶えた母の教訓 子どもが失敗から学ぶ機会を奪ったことを後悔
「小学校の別室で対応してくださる先生にも感謝しています。教務の先生が算数を教えてくださるんです。『算数は積み重ねが大事だから少しずつやっておこうね』って。マンツーマンで教えてもらえるから教室の授業より進んでいるんです。それが『僕もやればできるんだ』という息子の自信につながっています」 「今も不登校という状態は変わりませんが、フリースクールでは気の合う友達もできて、以前のように『僕はダメなんだ』と言わなくなりました」
由紀さんは、息子さんと向き合うなかで大きな気づきがあったと言います。 「上の子が中学校に入った時、小学校との違いに驚きました。中学校では始業式の翌日からいきなり6時間授業。部活の時間も長くて課題の提出も多く、夜中までかかるようなことをやらなければなりません。マイペースな息子のことを考えると、中学生になった時についていけるか不安でたまらなくなりました。だから私は、当時小学4年生の息子を急き立ててしまったんです。その不安は、いろいろなことをあきらめてしまっていた自分が、息子だけはなんとかしなくちゃと焦っていたからなんですね。今ならそれがよくわかります」
「息子は自分が納得いかないことはやらないという意思を持っていることにも気づきました。誰かに決められたことをやらされる息子は不満そうです。でも、自分が納得したことはやり遂げる。私は息子のそんな性格を見抜けませんでした。今は息子にやりたいことがあれば、全力でサポートしてやろうと思います」 ■不登校は親の課題に気づくきっかけ 【ランの視点】 親は自分の人生でできなかったことを子どもにさせようと期待したり、自分が失敗したことを子どもにさせないでおこうとします。無意識ですが、それが子どもを所有物のように扱い、親の思う道へとコントロールしてしまうのです。
先回りをして降りかかる火の粉を払い、あれこれと干渉することは、子どもの考える力と自立を妨げてしまいます。私がまさにそうだったのですが、そのことに気づかせてくれたのが娘の不登校でした。 困難な状況にも乗り越えられる大人に育てたければ、親は子どもから「失敗から学ぶ機会」を奪わないことです。 由紀さんは1つひとつ不安と向き合い、葛藤を乗り越えてきたからこそ、息子さんの不安を受け止め、苦悩する息子さんをサポートできるようになったのです。