どん底に落ちた不登校を機に夢を叶えた母の教訓 子どもが失敗から学ぶ機会を奪ったことを後悔
由紀さんは子どもの話を聞く時「まるで憑依したかのように、子どもが感じていることを感じ取るようにしている」と言います。子どもの目線に下りて、子どもの気持ちを同じように受け止める大切さを実感されたんですね。 「子どもの目線に下りると、学校に行けない息子の気持ち、勇気を振り絞って行事に出かける日の息子の緊張感が手に取るようにわかります。そして、『私はいつもがまんしている』という上の子の思いも受け止められるようになりました」
「私自身、自分のことも大切にするようになりました。今まで家族で外食する時は、家族が選んだものを見てからメニューを選んでいました。何も疑問に思わずやっていたことなんですが、今は自分が食べたいものを選んでいます(笑)」 お子さんたちの気持ちを理解し、自分のことも大切にし始めた由紀さん。そんな由紀さんに変化が訪れます。 「今、昔にあきらめた在宅ワークの仕事をやっているんです。フォローしていたSNSの憧れの人に『お手伝いできることがあればしますよ!』と直感的にメッセージを送ったんです。そうすると返事があって、今その人と仕事しています」
「人との交流も広がりました。私はポッドキャストというラジオ配信を聞くのが好きなんですが、オフラインイベントに勇気を出してひとりで参加したんです。そこでたくさんの人とつながって、今、自分も日常の出来事を声で配信したり、同じお母さんたちと番組を作ったりしています」 「私はいろいろなことをあきらめていたんですね。環境が整えばとか、タイミングが合えばとか、何かと理由をつけて自分の夢をあきらめていました。でも、これまで出会ったことのないような人たちにこうして出会えるのは、息子の不登校のおかげかもしれないです」
■フリースクール通いで元気に 今、息子さんはどのように過ごしているのでしょうか。 「小学校には週に2~3日、別室登校をしています。その他に民間のフリースクールに週1回通うようになりました。今、そのフリースクールに通うことが息子の活力になっているようです。そこには元不登校生の大学生たちが来て話をしてくれるんですが、彼らのリアルな体験談と明るい未来が息子に響いています。家から駅まで自転車で行って、途中でお昼ごはんのパンを買って電車に乗る。『ぼく、ひとりで通えるから』と元気に出かけていきます」