どん底に落ちた不登校を機に夢を叶えた母の教訓 子どもが失敗から学ぶ機会を奪ったことを後悔
「浮き彫りになったのは私の家族との関係です。私の兄は努力せずに何でもできる人なんです。母はそんな兄を評価していたし、私より好きなんだろうなと感じていました。だから兄のような人を見ると心がざわつくんです。要領よく生きている人が嫌いというか」 「自分の子育てにもそれが影響していたんですね。上の子が『私はいつも弟よりがまんしている』と言うと、『そんなわけないでしょ、きょうだいは上の子のほうが絶対有利なんだから』と思っていました」
■自分の中のモヤモヤに向き合うと… 「大人になってからのことも思い出しました。私は結婚したら在宅で仕事をしたかったんです。子どもたちに″おかえり”と言ってあげたかったので。そのために資格も取りました。でも、子どもが生まれたり母が倒れたりして、自分の夢をことごとくあきらめさせる現実が起こっているようで苦しかったです」 由紀さんはそんな自分にていねいに向き合っていきます。 「何に対してこんなにモヤモヤするのかを書き続けました。感情が乱れた時は殴り書きして、破って捨てて。苦しい感情や小さな頃に自分がしてほしかったことを深掘りしていったんです」
「結局、私は母に認めてほしかったんですね。兄ばかり見ないで私を見てって。そんな自分を認めたら少しずつラクになっていきました」 由紀さんはインナーチャイルド(幼少期の未解決な感情や心の傷)を癒やしていきました。それに伴い考え方にも変化が起こります。 「わかったのは、不登校を解決するには方法も大事だけれど自分がぶれていたらダメだということ。地盤がしっかりしていないと家が建たないように、私自身が変わらないといけないことがはっきりとわかりました」
■自分が変わると現実が変わりだした 由紀さんは日常生活のなかで行動を変えていきます。 「子どもたちの話を否定せずに話を聞くようになりました。これまでは子どもが学校から帰ってくると、私のタイミングで、私が聞きたいことを聞き出していたんです。上の子はそれで問題がなかったので、何も疑問に思いませんでした。でも、息子のほうは違う。苦しい気持ちを吐き出せていなかったんです」 「『僕なんか死んだほうがマシだ』と息子が言った時、あれこれ言うのではなく、ただ『苦しい思いをしてたんだね』とぎゅっと抱き締めるだけでよかったんです。私はいつも『学校に行かないと人生がダメになる』というメッセージを送っていたと思います」