「スマホをパクってるのは絶対にスキマバイトの連中だろ」…150億円の赤字に転落した「ヤマト運輸」で「iPhone窃盗」が頻発している「謎」
東京23区内にあるヤマト運輸の営業所。朝8時、眠い目をこすりながら出勤してきたセールスドライバーの男性は、目の前の光景を目撃した瞬間、「はあ、またこれか…」と言わんばかりにため息を漏らした。 【マンガ】工事現場の「交通誘導員」はいくら稼げる? 驚きの最高月収 視線の先にあるのは、複数のパレット(台車)に積み残された大量の宅急便。大小さまざまな段ボールが放置されたままで、その数およそ200個はあるだろうか。自身が運転するトラックの荷台には、まだ半分ほどしか荷物が積まれておらず、午前中指定の宅急便もあるというのに配達に向かえない。 そんな男性を尻目に退勤するのは、スキマバイトアプリで集まったスタッフたち。この営業所では、彼らが「早朝仕分け」を担当しているが、日雇いバイトで不慣れなスタッフも多いため、セールスドライバーの出社時間までに荷物の積み込みが終わっている日はほとんどない。 「昔はこんなはずじゃなかったのに…」 朝礼後、荷物が散乱したままの営業所を見渡した男性は、そうポツリと呟くと、もう一度ため息を漏らした。
ヤマトが赤字に転落した理由
11月5日、日本の物流業界に衝撃的なニュースが駆け巡った。宅配大手のヤマトホールディングス(HD)が、今年度の上期の連結決算において、営業損益が150億円の赤字に転落したと発表したのだ。 売上高に相当する営業収益に関しても、前年同月比3%減の8404億円に転落。これに応じて下期の業績予想も大幅に見直されることになり、4期連続で下方修正することになった。なぜヤマトは赤字に転落したのか。経済誌記者が解説する。 「栗栖利蔵副社長が、決算会見にて『お客さんとの交渉で単価アップが見込めず、収益が追いつかなかった』と発言した通り、Amazonをはじめとした大口法人顧客の荷物単価を上げられなかったことが業績悪化に繋がった。それに加えて人件費の上昇や、貨物専用機の導入といった費用も逆風となり苦戦を強いられた」
「スキマバイトアプリ」経由のスタッフが増加
だが、ヤマトにとって今期は「勝負の1年」だった。 昨年6月、トラック運転手不足が懸念される「2024年問題」を見据えて、長年ライバル関係にあった日本郵政との協業を発表。それに伴い、ポスト投函サービスの「クロネコDM便」を2024年1月末で終了し、代わりに「クロネコゆうメール」としてヤマト運輸が荷物の集荷を行ない、日本郵便が配達するという分業制が敷かれたのだ。 そこでヤマトは、これまで「クロネコDM便」に携わってきた、およそ2万5000人の個人事業主の雇用契約を終了すると発表。この事実上のリストラ通告に、当事者やその支援にあたる労働組合など100人近くがヤマト運輸の本社前に集まり、撤回を求めて声をあげたが、この決定が覆ることはなかった。 しかし、神奈川県内の営業所に20年以上勤めるセールスドライバーの男性は、「あのリストラのせいで現場はめちゃくちゃですよ」と怒りをあらわにする。 「もともと朝8時までに荷物を仕分けしてトラックに積み込む『早朝仕分け』は、パートさんがほとんどでしたが、1月末に状況は一変しました。彼らの多くは『クロネコDM便』も兼業していたため、まとまった収入を得るのが難しくなり、ほとんどの仕分けメンバーが辞めてしまったんです。 現場は人手不足に陥り、それを補充するために入ってきたのが『スキマバイトアプリ』経由で集まったスタッフたちでした。ところが、あまりにも彼らの仕事ぶりが杜撰すぎて、ドライバーたちからは非難が殺到しているんです」
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