災害が起きてから知るのでは遅い<携帯トイレの使い方>。「いくつ備えておく?」「使ったらどう処理?」防災トイレ専門家が徹底解説
2024年8月8日、日向灘を震源とするマグニチュード7.1の大きな地震が発生し、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が一時的に発表されました。災害への備えで後回しにされがちな「トイレ」ですが、NPO法人日本トイレ研究所代表理事の加藤篤さんによると「発災後3時間以内に約4割の人がトイレに行きたくなる。だから水・食料より先にトイレ対応が必要」とのこと。そこで今回は、加藤さんの著書『トイレからはじめる防災ハンドブック 自宅でも避難所でも困らないための知識』から、今知っておきたいトイレの知識を一部ご紹介します。 【図】4人家族が1週間に必要な携帯トイレの数は? * * * * * * * ◆後悔しないための携帯トイレの選び方・使い方 携帯トイレとは、便器に設置して使用する袋式のトイレです。袋の中に排泄し、吸収シートや凝固剤で大小便を吸収・凝固させます。 給排水設備が損傷して水洗トイレが使用できないときでも、便器に取りつければすぐに使用できることが利点です。また使い慣れたトイレ室を活用できるため安心です。 一方、いくつかの注意点があります。 まず携帯トイレを選ぶ際は、大小便をしっかり吸収・凝固できること、一定期間保管しても液体に戻らないこと、臭気対策が施されていることなどをチェックしてください。衛生的な問題が生じないよう、性能の良いものを選びましょう。 また、使用時に直接便器に取り付けることはおすすめしません。先に45リットル程度のポリ袋を便器に被せてから便座を下ろし、その上に携帯トイレを取りつけましょう。こうすれば、携帯トイレの交換時に水が滴ることはありません。 事前に使い慣れておくことをおすすめします。
◆使用済みの携帯トイレはフタつきの入れ物で保管する 携帯トイレを使用した後の取り扱い方法について説明します。 市町村への確認が必要ではありますが、概ね可燃ごみとして収集・処理されます。 可燃ごみとして収集するということは、ごみ収集車等で運ぶことになります。災害時は地盤沈下や液状化、浸水、建物倒壊などで道路が塞がれてしまう可能性があります。 通常であれば、すぐに実施できたごみ収集でも、災害時は思うようにいきません。 例えば、横浜市地域防災計画では、「生活ごみ・避難所ごみは体系的な被災状況を把握のうえ、本市職員などによる収集体制を整え、発災から72時間までに順次収集業務を開始する」となっています。 災害の規模や被災状況によっても異なりますが、少なくとも数日間は、各自で使用済み携帯トイレを保管することが求められます。 携帯トイレの中身は大小便ですので、臭気対策が必要になります。 また、直射日光があたると袋の劣化につながるので、フタつきの入れ物などに入れてベランダや庭など、生活空間と切り離した場所に保管することが必要です。 大小便のほとんどは水分ですので、一度にたくさんの量は重くて運べません。袋が破れないように注意することも必要です。
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