災害が起きてから知るのでは遅い<携帯トイレの使い方>。「いくつ備えておく?」「使ったらどう処理?」防災トイレ専門家が徹底解説
◆「人数×回数×日数」で携帯トイレを常備する 自宅で避難生活を送るには、携帯トイレの備えが欠かせません。では、携帯トイレはどのくらい必要になるのでしょうか? 携帯トイレの必要数を計算するには、避難生活を送る人数、1日当たりの排泄回数、そして避難生活を送る日数を想定する必要があります。 これらが分かれば、「人数×排泄回数×避難日数」という計算式で、携帯トイレの必要数を導き出すことができます。 ここでは仮に4人家族を想定してみます。排泄回数は一人ひとり異なりますので、それぞれが実際に数えてみることをおすすめします。 内閣府(防災担当)が作成した「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」では、1日当たりの平均的なトイレ使用回数の目安は「5回」と記載されています。 避難日数は災害規模によって大きく異なりますが、国が定める「防災基本計画」では、住民に対して最低3日間、推奨1週間分の携帯トイレ・簡易トイレ、トイレットペーパー等を備蓄することを啓発するように記載されています。 以上をまとめると、4人家族であれば次のような計算になり、140回分の携帯トイレが必要になります。
◆災害発生直後は設備点検より先に携帯トイレを取りつける 発災から3時間以内に約4割の人がトイレに行きたくなったというデータがあります。 発災後3時間でできることは、命を守り、安全な場所に避難して安否確認をすることぐらいではないでしょうか。 このような大混乱のなか、私たちは水や食料のことを心配すると思いますが、実はそれより先にトイレが必要になるのです。 急いですべきことは、避難所や自宅、オフィスなどのトイレに携帯トイレを取りつけることです。 もちろん、トイレの天井が壊れていたり、トイレブースが倒壊していたりして、トイレが危険な場合はこの限りではありません。 私たちはトイレに行くとき、誰かに申告して行くわけではありません。基本的には各々が便意や尿意を催したときに誰にも言わずにトイレに行きます。 体調を崩して嘔吐することもあると思います。そのため、どのタイミングで誰がトイレに行くのかはわかりません。停電していたとしても、断水に気づかずに排泄してしまうことが考えられます。 そんなとき、便器に携帯トイレが取りつけてあれば、災害時のトイレ対応であることに気づきます。 携帯トイレの使用方法はわからない人がほとんどですので、ポスターやスタッフを介して伝えることも必要です。 給排水設備の点検等は、携帯トイレを取りつけてから実施してください。さきに点検を行っていると、その間にトイレを使用されてしまうからです。 設備点検の結果、問題ないことが分かれば、携帯トイレを取り外せばよいだけです。 これまでの震災や豪雨災害において、携帯トイレを活用することでその場を乗り切った事例はあります。 繰り返しになりますが、災害時はできるだけ早く携帯トイレを取りつけることが必要です。
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