ノーベル賞「物理学賞」2015年の受賞は? 日本科学未来館が予想
2015年のノーベル賞の発表が近づいてきました。10月5日の生理学・医学賞を皮切りに物理学賞(6日)、化学賞(7日)の順に自然科学3賞が発表され、平和賞(9日)、経済学賞(12日)と続きます。昨年は赤崎勇、天野浩、中村修二の3氏が物理学賞を受賞し、日本中が沸きました。 【写真】日本人の受賞はあるか? ノーベル賞「生理学・医学賞」 今年はどんな研究をした、どんな科学者に贈られるのでしょうか。日本人受賞者は今年も誕生するのでしょうか。日本科学未来館は自然科学系3賞の受賞者を予想しています。同館の科学コミュニケーターが注目する研究を、ここ数年の受賞分野の傾向と合わせて紹介します。
《物理学賞》
物理学は、「自然界の現象や性質にかかわる普遍的な法則」を解明していく学問。その分野は大ざっぱに言うと、(1)「物性」:物質の示す物理的性質。とても幅広い。(2)「宇宙」:天文学や宇宙物理学。スケールが大きな話。(3)「素粒子」:物質を極限まで細分化した、ミクロな世界――の3つに別れます。 そして、ノーベル物理学賞の受賞分野はここ数年、「物性→宇宙→物性→素粒子」という4年サイクルが続いています。日本の研究が受賞した昨年の「青色発光ダイオード」は物性、そして一昨年の「ヒッグス粒子」は素粒子分野からでした。順番通りならば、ことし2015年は宇宙分野からの選出が有力です。
「太陽系外惑星」があった
■太陽のような恒星の周りを回る惑星を初めて発見=ミシェル・マイヨール(Michel Mayor)博士 太陽系外惑星は、その字の如く、太陽系の外にある惑星です。 地球の夜空には、星がたくさん見えますね。このほとんどは、太陽と同様、自ら光と熱を出して輝く恒星です(ただし、とても遠くにあるので点にしか見えません)。そして、太陽の周りを地球など8個の惑星が回っているように、夜空に輝く恒星にも惑星が回っているのです。これを、「太陽系外惑星」といいます。
マイヨール博士は1995年、ペガスス座に輝く51番星という恒星を観測し、その周りに惑星が回っていることを発見しました。軌道が中心の恒星にとても近く、大きさも木星並みと、地球とは大きく異なる天体でしたが、これを機に太陽系外惑星の研究は加速的に進みます。これまでに2000個近い惑星が見つかり、その中には地球によく似ていて、液体の水や生命が存在するかもしれない天体もあります。 以前は「地球や、惑星を持つ太陽は特別な存在なのかもしれない」という考えもありました。マイヨール博士はそんな中で、「生命がすむ星は、やっぱり、地球以外にもきっとある!」と人類に確信させ、私たちの宇宙観を変えたのです。 ◎予想:科学コミュニケーター・谷明洋 ※近年の系外惑星探査については、こちらで紹介しました。