ノーベル賞「物理学賞」2015年の受賞は? 日本科学未来館が予想
トポロジカル絶縁体は、ケーン博士 の提唱から2年後に存在が確認されました。(この例に限らず、実際に確認される前の存在が理論によって予言されるのが、物理学の面白いところでもあります)。世の中の物質はそれまで、電気の流れやすさによって、(1)電気をよく通す導体、(2)電気を通さない絶縁体、(3)その中間の半導体――の3つに分けられると考えられていましたが、その常識をあらためる“第4の物質”になったのです。 トポロジカル絶縁体の表面を流れるのは、「スピン流」と呼ばれるもの。電子がクルクルと自転(スピン)することによって生じる磁気の流れです。電流と違って抵抗がなく、発熱によるエネルギーロスもありません。消費電力が極端に少ない電子機器や、計算能力が桁違いに高い量子コンピュータなど、私たちの生活を大きく変える技術への応用が期待され、まさに今、世界中で研究が進められています。 ◎予想=科学コミュニケーター・雨宮崇
物理学賞発表は10月6日夕方
物理学賞は10月6日(火)午後6時45分(日本時間)から発表されます。今回紹介した3つの研究については、日本科学未来館の「科学コミュニケーターブログ」でより詳しく解説しています。予想が当たっても当たらなくても、これを機会にご紹介した研究・研究者にも興味を持っていただけたらと思います。 ◎日本科学未来館 科学コミュニケーター 谷明洋(たに・あきひろ) 1980年、静岡県生まれ。少年時代から天体観測と写真撮影が趣味。京都大学大学院農学研究科を修了後、静岡新聞記者を経て現職。