【サッカー】大阪の強豪・履正社高校はハイプレスをどうかわし、起点を作るか。平野監督が直接語った、論理的でパズルのような局面打開の方法とは
|ゴールを常に見ながら、ゴールから逆算した判断を下す
ドイツ・ブンデスリーガ1部のホルシュタイン・キールの点取り屋、町野修斗が過ごした高校が、大阪府の履正社高校だ。このチームを率いて20年以上になる知将の判断基準は、どのようなものだろうか?局面を打開するための動きのコツなど、攻撃面の判断を中心に取材した。 BBM sportsはその全貌を、2回にかけてすべて公開。 第一回は、スペースを判断材料に守備網をかいくぐる動きや、その際の注意点について解説する。 (引用:『サッカークリニック 2024年12月号』【特集】図解つき!サッカーの優れた状況判断PART7:大阪の強豪高校が持つ判断基準) 文/森田将義 【写真】練習中の履正社高校の選手。スペースを意識しているからか、顔がしっかり前を向いている(Photo:森田将義)
|スペースがどこにあるかが、ポイントになる
「判断基準は、勝利のためにあります。勝つためにはゴールを奪わなければいけないですし、ゴールを奪うためにはシュートの場面を増やさなければいけません。今、何をすべきかを考えてプレーしてほしいです」 そう話すのは、町野修斗(ホルシュタイン・キール=ドイツ) をはじめとする数多くのJリーガーを輩出してきた、履正社高校(大阪府)の平野直樹監督である。 プレーするにあたっては、効率良く、効果的にゴールを目指すための優先順位がある。 「ゴールを常に見ながら、ゴールから逆算した判断を下すことが、大事になります。ボールを失うと、カウンターを食らう危険があるので、ボールを失わずにゴールを目指したいところです。 選手たちには、車の運転にたとえた話をよくしています。『渋滞している道路とすいている道路では、どちらのほうが早く目的地に到着する?』と問いかけています。判断材料としては、スペースがどこにあるかが、ポイントになります」(平野監督、以下同様) 5レーンの考え方が定着したのは、スペースを効率良く使いながら攻めるためである。68メートルの横幅を4人で守るのは難しく、5レーンのどこかは空く。スペースを消すためには、人数をかけて守るのが主流。3バックにウイングバックを加えた5人による守備方法が増えているのは、3トップで幅を使うチームに対応するためだ。5枚ですべてのスペースを網羅することにより、相手に縦への推進力を出させないようにしている。