国民審査

国民審査とは?

辞めさせたい裁判官に×(バツ)を記入して投票

「国民審査」は、最高裁判所の裁判官が役割にふさわしい人かを国民が考え、辞めさせるかどうかを投票で決める制度です。衆議院選挙と同時に行われます。

辞めさせたい意思があれば裁判官ごとの名前に×(バツ)を書き、なければ何も書かずに投票し、×の票が有効投票の過半数になれば、その裁判官は憲法に基づいて辞めさせられます。

最高裁判所の裁判官は、任命後初めての衆議院選挙の投票日に国民審査を受け、審査から10年を過ぎるたびに対象となります。

対象の最高裁判所裁判官全6人

  • 66おじまあきら

    信任

    東大法卒。静岡地裁所長、最高裁首席調査官、大阪高裁長官を経て、22年7月就任。66歳。神奈川県出身。

    関わった主な裁判

    • 映画出演者の薬物犯罪を巡り、文化庁所管の独立行政法人が映画制作会社に対する助成金を不交付にした措置を違法とした判決の裁判長。(23年11月)
    • 裁判官としての信条と心構え
      中立的立場で独立した職権を行使し、透明性の高い手続きで適時に紛争を解決するのが、良い裁判との信念を持っている。
    • 過去の再審無罪から裁判所が得るべき教訓
      再審事件について、裁判所は現行の法令や判例などに基づいて良い裁判を実現しようと努力していると理解している。
    • 夫婦別姓や同性婚を求める声に裁判官はどう向き合うべきか
      社会状況の変化などにより、憲法や法律の適用の在り方が変遷することがあり得るのは、過去の最高裁判例も示すところだ。当事者の主張立証をよく吟味して判断することが必要だ。
  • 64みやがわみつこ

    信任

    東大法卒。86年弁護士登録。三菱自動車工業社外取締役、日弁連知的財産センター委員長を歴任し、23年11月就任。64歳。愛知県出身。

    関わった主な裁判

    • 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への多額献金を巡り、返金訴訟を起さないとした元信者の念書は、公序良俗に反し無効とした判決。(24年7月)
    • 裁判官としての信条と心構え
      事件の一つ一つに誠実に向き合い、公正で妥当な判断を行えるよう全力で取り組む。
    • 過去の再審無罪から裁判所が得るべき教訓
      「疑わしきは被告人の利益に」という原則の下、証拠評価に誤りがないか慎重に検討し、合理的判断を行うよう努めたい。
    • 夫婦別姓や同性婚を求める声に裁判官はどう向き合うべきか
      一般論として、社会の変化や価値観の多様化など事件の背景にある社会の状況や国民の意識、国際的な潮流なども考慮した上で判断したい。
  • 66いまさきゆきひこ

    信任

    京大法卒。最高裁事務総長、東京高裁長官、最高裁判事を経て、24年8月最高裁長官に就任。66歳。兵庫県出身。

    関わった主な裁判

    • 生殖能力をなくす手術を性別変更の事実上の要件とする性同一性障害特例法の規定を、違憲・無効とする大法廷決定。(23年10月)
    • 裁判官としての信条と心構え
      当事者双方の言い分に謙虚に耳を傾け、よく理解した上で裁判すること。裁判の枠組みを超えて、独善に陥らないようにすること。
    • 過去の再審無罪から裁判所が得るべき教訓
      いったん有罪が確定しながら、再審の結果無罪が確定する事例が生じたことは、裁判所としても真摯(しんし)に受け止めるべきと考えている。
    • 夫婦別姓や同性婚を求める声に裁判官はどう向き合うべきか
      社会変化や価値観の多様化などに伴い、新たな論点をはらむ事件は今後増えていく。多角的視点に立ちバランスの取れた判断が求められ、裁判官としての総合力が試される。
  • 63ひらきまさひろ

    信任

    東大法卒。前橋地裁所長、東京地裁所長、大阪高裁長官を経て、24年8月就任。63歳。兵庫県出身。

    関わった主な裁判

    • 就任後、日が浅いため特記なし。
    • 裁判官としての信条と心構え
      職責の重さを自覚し、中立公正な立場で、誠実に向き合う。謙虚に両当事者の言うことに耳を傾け、証拠を検討する姿勢が重要だ。
    • 過去の再審無罪から裁判所が得るべき教訓
      個々の裁判官が過去の再審無罪の事例に学び、自らが担当する再審請求事件などの処理に活かすことが必要だ。
    • 夫婦別姓や同性婚を求める声に裁判官はどう向き合うべきか
      一般論として、広い視野を持って、対立する主張に耳を傾け、適切な判断を示すことが求められるので、自律的に識見を高めていく必要がある。
  • 66いしかねきみひろ

    信任

    東大法卒。81年外務省入省。同省総合外交政策局長、国連代表部大使を経て、24年4月就任。66歳。山口県出身。

    関わった主な裁判

    • 旧優生保護法の規定を違憲とし、除斥期間の適用は「著しく正義・公平の理念に反する」とした大法廷判決。(24年7月)
    • 裁判官としての信条と心構え
      法曹界の外で培った経験を踏まえ、予断を排し、関係者の主張に謙虚に耳を傾けつつ、妥当と信じる解決を探っていきたい。
    • 過去の再審無罪から裁判所が得るべき教訓
      誤判はあってはならない。司法としても、予断を排した審理判断を行うよう心掛ける必要がある。
    • 夫婦別姓や同性婚を求める声に裁判官はどう向き合うべきか
      価値観の多様化が社会の分断ではなく、新たなエネルギーの創造につながることを期待し、諸般の事情を十分に考慮して個別の事案に向き合いたい。
  • 63なかむらまこと

    信任

    京大法卒。水戸地裁所長、最高裁事務総長、東京高裁長官を経て、24年9月就任。63歳。大阪府出身。

    関わった主な裁判

    • 就任後、日が浅いため特記なし。
    • 裁判官としての信条と心構え
      一件一件の事件に誠実に向き合い、多角的・多面的な視点から考えて議論するよう心掛けたい。
    • 過去の再審無罪から裁判所が得るべき教訓
      「疑わしいときは被告人の利益に」という鉄則の下、証拠評価に誤りがないかをさまざまな観点から慎重に検討することが必要だ。
    • 夫婦別姓や同性婚を求める声に裁判官はどう向き合うべきか
      国民の価値観や意識の多様化に伴って生じる新たな社会的問題についても、広い視野を持って、対立する主張に耳を傾けて判断し、説得的な理由を示すことが求められる。
  • 国民審査の結果の情報は時事通信社から提供されています